2011年11月26日土曜日

「世を逃れるのに完璧な島」: ザ・チューン

ザ・チューン ではアレックス・ホールの4/5:

30年以上のレコーディングキャリアのあるアーティストにとっては、シーンの中に居続けるという ことだけでも大変なことです。 ケイト・ブッシュにとって、 雪のための50の言葉は彼女の80年代の名アルバムにも匹敵する いい作品に仕上がっているので、 シーンの中にいるということは重要ではなく、 … いくつかの曲ではコンセプトの扱いはそれほど強くないですが、それでも 一貫したコンセプトが感じられます。 雪というのがこのアルバム全体を貫いていて、 バラバラにならないようにしているのです。 … 雪のための50の言葉が目指しているのは、そういった雰囲気をどうやって保つかということで … 私の評価も曲作りというよりは彼女の芸術表現における状況により強く関係しています。 リスナーはいつも完全な雪の世界に包まれることが出来るわけではなく、 それは自然がそんなことを考えることを許すようであれば、 … このレコードが完全に連れて行ってくれるでしょう。 ブッシュの深いリッチなボーカルと処女雪とはくっきりとした対比で、 それをさらに強調するために、このレコードでは若い男性のハイトーンの声を 取り入れていますが、 ブッシュの息子アルバートも雪のように移ろいやすい 美しさを表しています。 … このアルバムではピアノが支配的ですが、 それによって作品全体が優しいものになった上、 ブッシュのアートロック的な性格がジャズやクラシックにまで広がっっています。 … もう一つ。このアルバムのトラックは、どれも1曲だけでは存立しない。 内容がお互いに似ているのと、曲の長さのためです。 このような一貫性のある作品のリリースがあると、 リスナーはもう腰を据えてレコードを最初から最後まで通して聴くしかないので、 それはうれしいことです。 … わたし的には、雪のための50の言葉は、 窓から人影が消えてゆく街や舗道を長い間眺めた後で 想像の世界で聞いたコンサートのようなものです。 … 雪にまつわるアルバムなので、実際に雪がまわりにあると良く内容が伝わるので、 これはまさに今完璧なタイミングでしょう。 時がすぎて、暖かく乾いた季節になるとこのレコードは今ほど重要なものでは なくなってくるかもしれませんが、 それでも、気候がどうであっても、雪のための50の言葉は 世を逃れるのに最高の場所で、 なんかうっとおしくなったり音楽がやかましいと思った時に 戻る場所になることでしょう。

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