2011年11月23日水曜日

「ケイト・ブッシュは変人のままで」: キャピタル・ニューヨーク

キャピタル・ニューヨークでのダフネ・カーによる50の言葉の素敵なレビュー:

オープニング曲の『スノーフレイク』 はいまの音楽とはかけ離れているように 聞こえて、過去20年間が飛んでいくような感覚です。 … そしてベースが入ってきてもその感覚は続きます。 張りつめて削ぎ落とされたエレクトリックな音は、 ポップスの世界ではずっと無かった音です。 ギターのチリチリした感じはフリップ卿もまだまだ健在と思わせるし、 スティーブ・ガッドのトムやブラシでのスネア、官能的なシンセパッドなど、 このレコードが受けた一番新しい影響は トーク・トークのもっともポップから遠いところからなんではないかと思わせる。 ブッシュ自身の70年代後半から80年代にチャートを席巻したヒットも 同様に記憶から飛んでしまう。残っているのは コード進行とかビロードのような彼女のボーカルだけ。 雪をテーマにしたこのアルバムの7つの曲をずっと聞いていると、 こういったアナクロニズムこそが大事なところだと思えてきます。 2011年のケイト・ブッシュは場違いかもしれませんが、 また、ケイト・ブッシュが拓いた道を続く多くのアーティストと 比べずにはいられないということも同時に言えます。 おそらく、この冬の小路はそのような息苦しいところから 逃れるための最良の方法だったんでしょう。 … ブッシュにかかると、どの楽器もどのフレーズも曲全体に有効に働く。 1つの音も無駄にはしないのは、まさに技といったところですが、 この完璧主義のために1993年から2005年にわたるギャップが生まれてしまったという ことでもあるわけです。 … このアルバムで、ケイトはいろいろなケイト・ブッシュを巡った末に 原点のケイト・ブッシュに戻ったと言えます。 … プログレのいろいろなものを取り込む勢いとニューウェーブの風変わりさとか不遜な態度 を吸収するところは、一時はヘンとか変わり者と言われましたが今は立派に認められて いますが、それとポップスのパッケージに改革をもたらそうという 情熱とがポップスの中でのアートの2大潮流です。 ロブ・ヤングのエレクトリック・エデン という素敵な本では、英国の新旧のフォークを『英国文化の秘密の庭園』と 称しています。 ヤングはブッシュのことをニューウェーブと言っていますが、 それは普通の意味ではなく、 オカルト風の声や自然や空のことを変な拍子やロック的でない楽器 で演奏する英国のミュージシャンの長い系譜のなかでのニューウェーブという ようなことで、バンパーステッカーには『イギリスのヘンを守ろう』などと 書かれているような感じ。

Kate - Misty

0 件のコメント: