2018年10月26日金曜日

ポッドキャスト特別版 デル・パーマーのインタビュー特集 – アイルランドツアー

Del Palmer in Ireland

本人も信じられない思いですが、今回のケイト・ブッシュ・ファン・ポッドキャストでは アイルランドでのツアーをまさにスタートしたばかりのケイト・ブッシュ・ソングブックのメンバーの シンガーマンディ・ワトソン、ピアニスト/アレンジャーのマイケル・メイエル、 そしてなんとデル・パーマーとインタビューをすることができました。 インタビューはダブリンの安レストランのテーブルでリラックスした雰囲気で行いましたが、 デルがバンドに参加することになった経緯、もう何十年も演奏していなかったケイト・ブッシュの曲を また演奏することで感じたこと、 ケイトとアイルランドを旅した思い出、そしてアイルランドのトップミュージシャンたちとの共演などについて しゃべってくれました。

わざわざ時間を割いてくれたデルさんには感謝しかありません。 ダブリンのライブにサプライズゲストで登場した ナディ・キーティング、ジュリア・クラジュースカの2人にもバックステージで 立ち話してきました。 曲は2018年10月20日、モンローズ・ゴールウェイで録音されたものです。 クラウドバスティングとケイト・ブッシュ・ソングブックについては バンドのサイトで見てください。 デル・パーマーのフェースブックページはこちらです。

ケイト・ブッシュ・ファン・ポッドキャストの購読は、iTunesやその他のポッドキャストアプリ、たとえばStitcherTuneinで。あるいは下のサウンドクラウドのリンクからも聞くことができます。

2018年10月19日金曜日

ケイト・ブッシュ・ファン・ポッドキャスト   ベイビーブシュカのツアー特集

Baby Bushka on Stage

アメリカのサンディエゴからやってきたベイビーブシュカは 女性8人組のユニットで、ケイト・ブッシュの作品をテーマに とてもエネルギッシュで楽しめるような印象的なステージで、 UKとアイルランドで多くの人に感銘を与えてきました。 今回のポッドキャストでは、ショーンがベルファストで行われたUKとアイルランドのツアーの 最終公演のバックステージで、彼女たちにインタビューしています。 また、ケイトのリマスターについてもしゃべっていますし、 魔物語のアルバムのクイズ集(サイモンさんから)もやっています。 盛りだくさんの回です。

ベイビーブシュカ公式サイト | ベイビーブシュカ フェースブックページ

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2018年10月18日木曜日

ケイトがリマスタープロジェクトの新しいテレビCMを発表 – デジタルのリリースも確定

ケイトが近日発売の ケイト・ブッシュ $#8221; リマスターのプロジェクトの プロモーションビデオを発表しました。 エクスペリメントIVのプロモの映像 (ドーン・フレンチ、ヒュー・ローリー、リチャード・ヴァーノン、デル・パーマー、 そしてエキストラでホームグラウンドのピーター、クリス、デイブも出演しています!)に 透明人間になる方法の音がつけられており、 ミステリアスなナレーションが聞こえます:

「マスタリングという作業はときになかなか難しいもの、でも完璧って思えることもあります!」

ケイトは今回のリマスターの音が良くできているということに自信を持っているようです。 リリース日が入っている最後の画面では、リマスター版がデジタルでもリリースされることが 読み取れますが、それが高品質フォーマット(WAVやFLAC)かどうかはまだ分かりません。 発売日が近づくにつれ、分かってくると思います。 アナログ盤、CDのボックスセットなどの予約情報はこちらにあります。

2018年10月12日金曜日

KTブッシュバンドのライブ日程が発表に

この先何か月かのKTブッシュバンドのイングランドでの ライブ日程が発表になりました。 ご存知のとおり、ケイトが有名になる前にパブで演奏していたメンバーである ブライアン・バスとビック・キングが参加しているバンドです。 予約は、下の日程のチケット予約リンクか、こちらのバンドのサイトからお願いします: http://www.thektbushband.com

October 19th Southern Maltings Art Centre – Ware, Hertfordshire
November 9th “The Cut” Art Centre – Halesworth, Suffolk
December 7th Mycenae House – Blackheath, London
January 26th The Quay Theatre – Sudbury, Suffolk
February 2nd Farncombe Music Club – Surrey

The KT Bush Band Poster

2018年10月11日木曜日

ケイト・ブッシュ・ファン・ポッドキャスト - ブッシュ家の思い出

Bush Telegraph Episode 4

ケイト・ブッシュ・ファン・ポッドキャストの今回のブッシュ・テレグラフでは、 ダレルとポールが記憶をさかのぼり、ブッシュ家の人たちのことをしゃべります。 ファームでのある日、ケイトがポールに向けて歌い、ダレルが月光のソナタを弾いたお話も聞けます。 また、今回発売になる ケイト・ブッシュ – リマスター のアナログ盤とCDのプロジェクトについても触れます。

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アイリッシュ・エグザミナーでケイト・ブッシュ・ソングブックとのツアーを控えたデル・パーマーのインタビュー

Kate Bush Songbook

本日のアイリッシュ・エグザミナーには、ケイト・ブッシュ・ソングブックとの アイルランドツアーを来週にひかえたデル・パーマーさんの インタビューが出ています。 デルはケイトとのアイルランドでのレコーディングのことや、 どのような経緯でまた以前の曲をステージで演奏することになったかなどを 語っています。 ライブの成功をお祈りします! インタビューの全文はこちら。 ライブの日程はこちらです:

WED OCT 17 Set Theatre, Kilkenny, Ireland tickets
THU OCT 18 Cyprus Avenue, Cork, County Cork, Ireland tickets
FRI OCT 19 Dolans Pub, Limerick, County Limerick, Ireland tickets
SAT OCT 20 Monroe’s Galway, County Galway, Ireland tickets
WED OCT 24 The Sugar Club, Dublin, County Dublin, Ireland tickets
THU OCT 25 The Belfast Empire, Belfast, Northern Ireland tickets
SAT OCT 27 Acapela Studios, Cardiff, Wales tickets

2018年10月4日木曜日

大ニュース! ケイト・ブッシュのリマスター! 全アルバムとレア曲集がアナログとCDで11月に発売

ケイト・ブッシュ – リマスター. ついにこの時がきました! ケイトが今までの全作品を完全リマスターして、 新しいパッケージのアナログ盤とCDでリリースします! アナログ盤愛好家にとっては、 中古コレクターの市場で異常な高値をつけていた作品(レッド・シューズとエアリアルのこと) を含めて、長いこと廃盤になっていた作品がまたお店で買えるようになるということを 意味しており、 お好きなほうのフォーマットでケイトの初期のアルバムを新たなリマスターで改めて聴き直すことが できるということになります。 ビフォー・ザ・ドーンのCDを除いて全作品は、なんとケイト本人とジェームズ・ガスリーが リマスターを担当しています。

追記: ショーンがケイト・ブッシュ・ファン・ポッドキャストでしゃべっています。– こちらでどうぞ:

10月5日追記: このニュースに対するファンの反応についてケイトが公式サイトでコメントを出しています:

リマスターの反響…

昨日のリマスタープロジェクトについての皆さんの反応にはほんとうにびっくりしました。 もううれしくて仕方ありません! こんなに良い評判をいただいてとてもわくわくしていますし、 制作に関わってくれたみんなにとっても苦労が報われることです。
こんなにすごい反響があるとはおもっていませんでした。ありがとうございます。
ケイト

10枚のケイトのスタジオアルバムが別々にアナログ盤とCDで買えるようになるほか、 アナログ盤は4セット、CDは2つセットで、リマスター版のボックスセットをリリースします。 ケイトの全スタジオアルバムのアナログ盤は4つのボックスセットで、 最初の2つが11月16日、あとの2つが11月30日にそれぞれリリースとなります。 CDのボックスセットも同じ日に発売です。




4つのアナログ盤のボックスはケイト・ブッシュ – アナログリマスター I, II, III, IV と題されていて、10枚のスタジオアルバムが3組のボックスセットに分けて収められていて、 4番目のボックスはリミックス、B面、カバー曲からなる4枚組の新しいLPコレクションになっています。 3つのLPボックスのパッケージは、それぞれの時代を代表して、 ドリーミング、センシャル・ワールド、エアリアルのアートワークが、 文字の入らない形でフィーチャーされています。 レッド・シューズは見開きのジャケットになっています。 注記: ビフォー・ザ・ドーンのライブアルバムのセットは 2016年からフィッシュピープルで4枚組LPで購入できるようになっていました。

予約 Kate Bush Remastered in Vinyl I (LP Box Set – The Kick Inside, Lionheart, Never For Ever and The Dreaming)
予約 Kate Bush Remastered in Vinyl II (LP Box Set – Hounds of Love, The Sensual World, and The Red Shoes*)
予約 Kate Bush Remastered in Vinyl III (LP Box Set – Aerial*, Director’s Cut* and 50 Words For Snow*)
予約 Kate Bush Remastered in Vinyl IV (LP Box Set – a NEW 4LP rarities collection of 12″ mixes, remixes, b-sides and covers)
*double vinyl album


CDのボックスセットはケイト・ブッシュ – リマスター Part I (最初の7アルバム) と、エアリアル、ディレクターズカット、雪のための50の言葉、ビフォー・ザ・ドーン、 そしてリミックス、B面、カバー曲のレア曲を集めたCDからなる ケイト・ブッシュ – リマスター Part IIの2つです。 レア曲集には「アザー・サイド」というタイトルがついています。 注記: レア曲のCDは2つめのボックスセットの中の1枚としてのみの販売となります。

予約 Kate Bush Remastered – Part I (CD Box Set – The Kick Inside, Lionheart, Never For Ever, The Dreaming, Hounds of Love, The Sensual World and The Red Shoes)
予約 Kate Bush Remastered – Part II (CD Box Set – Aerial, Director’s Cut, 50 Words For Snow, Before the Dawn, and The Other Sides, a NEW 4CD rarities collection)

The Other Sides – Track-listing of rarities discs (vinyl and CD):

12” MIXES

Running Up That Hill (A Deal With God)
The Big Sky (Meteorological Mix)
Cloudbusting (The Orgonon Mix)
Hounds Of Love (Alternative Mix)
Experiment IV (Extended Mix)

THE OTHER SIDE 2

Home For Christmas
One Last Look Around The House Before We Go
I’m Still Waiting
Warm And Soothing
Show A Little Devotion
Passing Through Air
Humming
Ran Tan Waltz
December Will Be Magic Again
Wuthering Heights (Remix / New Vocal from ‘The Whole Story’)

THE OTHER SIDE 1

Walk Straight Down The Middle
You Want Alchemy
Be Kind To My Mistakes
Lyra
Under The Ivy
Experiment IV
Ne T’Enfuis Pas
Un Baiser D’Enfant
Burning Bridge
Running Up That Hill (A Deal With God) 2012 Remix

IN OTHERS’ WORDS

Rocket Man
Sexual Healing
Mna? na hE?ireann
My Lagan Love
The Man I Love
Brazil (Sam Lowry’s First Dream)
The Handsome Cabin Boy
Lord Of The Reedy River
Candle In The Wind

PRE-ORDER LINKS FOR INDIVIDUAL REMASTERS:

The Kick Inside (2018 Remaster)

CD https://amzn.to/2xWL3GQ
Vinyl https://amzn.to/2zR4fqS

The Sensual World (2018 Remaster)

CD https://amzn.to/2xU3FY3
Vinyl https://amzn.to/2DUyYre

Lionheart (2018 Remaster)

CD https://amzn.to/2O6ZfqM
Vinyl https://amzn.to/2RolnuN

The Red Shoes (2018 Remaster)

CD https://amzn.to/2DUYbl2
Vinyl https://amzn.to/2zRKteP

Never For Ever (2018 Remaster)

CD https://amzn.to/2DUYj40
Vinyl https://amzn.to/2xU3KLl

Aerial (2018 Remaster)

CD https://amzn.to/2zQO8tq
Vinyl https://amzn.to/2DYJddR

The Dreaming (2018 Remaster)

CD https://amzn.to/2RnhCG9
Vinyl https://amzn.to/2RqT2nK

Director’s Cut (2018 Remaster)

CD https://amzn.to/2RsUxSv
Vinyl https://amzn.to/2PaZHAP

Hounds of Love (2018 Remaster)

CD https://amzn.to/2y0Like
Vinyl https://amzn.to/2O8lRHH

50 Words for Snow (2018 Remaster)

CD https://amzn.to/2DWfHFD
Vinyl https://amzn.to/2zSgLXf

ケイト・ブッシュ・ファン・ポッドキャスト - 新作 - リマスター祭りを考える

Kate Bush Remastered Soundwave

今回のケイト・ブッシュ・ファン・ポッドキャストでは、ショーンが ケイトから今日あった重大アナウンスについて語ります。 – ケイト・ブッシュのリマスターは2018年11月発売で、 ケイトの10枚のアルバムがすべてアナログとCDでリマスターされるほか、 12インチ、リミックス、B面曲、カバーを集めた4枚組もリリースされます。 ボックスセットには何が入っていて、どんなフォーマットか? リマスターってどういうこと? ジェームズ・ガゼリーって誰? そして、「ハミング」って何で、どういう意味ですごいことなのか? 短編のつもりで始めたら、1時間近くもしゃべってしまいました!

ケイト・ブッシュ・ファン・ポッドキャストの購読は iTunesやその他の ポッドキャストアプリ、たとえばStitcherTunein、または下のサウンドクラウド で、どうぞ。

2018年10月3日水曜日

少年の瞳を持った男を1975年に録音したエンジニア、ジェフ・エメリックが逝去

Geoff Emerick

ケイト・ブッシュ・エンサイクロペディアのページで、 1975年のケイトにとって最初のレコーディングセッション (サキソフォン・ソング、少年の瞳を持った男、そしてリリースされることのなかった メイビーあるいはハミングと呼ばれている曲)でエンジニアを務めた ジェフ・エメリックが昨日亡くなっていたことを知りました。 ジェフさんのご冥福をお祈りいたします。 ジェフさんはビートルズのアルバムの録音での仕事でよく知られています。

追記: ケイトが公式サイトでジェフへのメッセージを 投稿しました:

ジェフさんへ

ジェフ・エメリックさんは、私が初めて出会ったエンジニアでした。 少年の瞳を持った男など何曲かを1974年にオックスフォード・ストリートの エアスタジオで録音してくれました。 とっても優しくて協力的な人でした – 録音でスタジオに入ったこともなかったし、 ましてオーケストラとの共演なんて、という感じでした。 私をからかったりしてリラックスさせてくれました。 とってもユーモアのセンスがあって、ちゃめっ気のある人でした。 いつも笑顔の彼を思い出します。 本当に素晴らしい方で、エンジニアとしての才能もあり音楽業界でのヒーローの 一人だと言えます。 ご一緒できたのは本当に名誉なことです。
ケイト

ジェフさんのキャリアについては、どんどん広がっている素晴らしいKBエンサイクロペディアのサイト でご覧ください: http://www.katebushencyclopedia.com/emerick-geoff/ – ファンにとっては貴重な情報源です。

カメラマンのマイク・マイルズが回想するケイトの「赤ドレス」版ビデオ

Kate Bush Wuthering Heights red dress

先月には、ケイトの嵐が丘のビデオの最初のバージョンが撮影された正確な場所が ファンによって特定されましたが(こちらのレポートをご覧ください)、 なんとサイトのフォーラムのケストレルさんが、その撮影のカメラマンであるマイク・マイルズに コンタクトしました。 それによって、撮影の日付(1977年10月26日(水))も明らかになり、 その日の撮影についての詳しい話も明かしてもらうことができました。 ケストレルさん、ありがとうございます!

ケイト・ブッシュ … ‘嵐が丘プロモ’ … ソールズベリー平原 … 1977年10月26日(水)

1976年から1982年にかけて私は、 ニック・エイブソンのロックフリックスという会社でフリーランスのライティング・カメラマン として働いていて、ニックと音楽プロモやコンサート映像を撮っていました。 制作はすべて16ミリフィルムでやってました(ビデオなんてものはありませんでした)。 1977年の10月3日から11月5日まで、私はニックと一緒にスティッフレコードの"ライブ・スティッフ・ツアー" と題したUKツアーに同行していました。 イアン・デューリーとブロックヘッズ、エルビス・コステロとアトラクションズ、 ニック・ロウ、レックレス・エリック、ラリー・ウォリスといった人たちがフィーチャーされていました。 撮影していたのは、ツアードキュメンタリーで、 "If It Ain’t Stiff ..It Ain’t Worth a F…" という長編フィルムでした。 バスでUK中をバンドに付き添って回りましたが、運転していたのは、もちろんトレヴァーさんでした。 そのツアーの間にやったいろいろなバカ騒ぎのことについてはあえて触れないでおきますが、 いくつかは映画の中にも入っていますね。 M1のワトフォード・ギャップの「ブルー・ボア」というサービスエリアで よろしくない行いをしたということでつまみ出されたのが撮影隊だったということを お伝えしておけば十分でしょう。

イングランド西部からウェールズにに向かう途中、空いた日がありました。 その日を埋めようと、ニックは次のスティッフのライブに向かう途中で プロモを撮ろうという仕事を入れました。 そのプロモは聞いたこともないケイト・ブッシュというシンガーの曲のもので、 最初に曲を聞いた時のことを思い出すと、ケイトはえらく高い声だなあという印象でした。 西に向かわないといけなかったので(次のライブはたぶんカーディフだったかと思います)、 ニックはソールズベリー平原で立木のある草原を見つけてきました。 そのあと移動するにはうってつけの場所でした。

前の晩、ソールズベリーのホテルに宿を取りましたが、 そこでケイト・ブッシュに会って食事を一緒にしました。 ケントのウェリングで育ったというのを聞きました。私が育った町から2マイルほどです。 うら若いケイトにとっておじけづくような雰囲気だったと思います。 ごろつきみたいなのに囲まれて、初めて泊まるホテルで初めてのプロモの撮影の 準備をしようというのですから。 賢明にも、彼女はバーで一杯やろうかという私たちの誘いに乗らず、 早めに部屋に戻りました。

翌朝早く、ロンドンから年代物の白いバンに乗って、 エレマック・スパイダー・ドリーと曲線軌道をやまほど運んできた撮影助手と落ち合いました。 もう秋で雨が降っていたんですが、道から入るところがぬかるんでいて バンが重かったので、なんとかその場所に車をいれようとやり直した後、 泥に完全につかまってしまったんです。 けっこうなみちのりで500キロぐらいあったんで、ドリーを下して現場まで運ぶのは無理でした。 ただ一つの解決策は、トラクターに乗った地元の農家の人を見つけて、 バンを脱出させ、現場に向かうことでした。 2~3時間後、トラクターに乗った親切な農夫に会うことができました。 どんよりした朝で、その場所も、いちおう草が生えていたものの、 一面耕したあとのような感じでした。 でこぼこしていて、スロープになっていました。 たいへんな思いをしながら軌道を大きな半円に敷いて水平を確かめ、 ドリーとカメラをセットしました。 そして、ケイトが合わせて踊る曲を流すための再生装置もセットされました。 準備万端です。

けど、映像を引き立てるためにできることはあまりありませんでした。 軽めの拡散フィルターを使いましたが、空のフレアが出そうだったので注意が必要でした。 鈍いけど他よりもずっと明るい空の影響を和らげるためにグラデーションフィルターを 使うことも考えましたが、木もあるしフレーミングの流れを考えるとそれも使えません。 ケイトの顔に遠くから当てるようなパワフルなライトもありませんでしたし、 目に向けてリフレクタを使おうにも陽がさしてませんでした。 クローズアップではなんとか手持ちのリフレクタを使いましたけど。 それから、小さなスモークマシンもありました。残念ながら風が強かったので、 ケイトの顔からあっという間に流れてしまいました。 機材を準備している間に、ケイトが私のところにやってきて、 自分がどんな風に見えるかはカメラマンに聞くといいよと教えられたと言いました。 きれいなロングヘアで、造花を髪につけていました。 それを付けていたほうが良いか、きれいに見えるかと聞かれました。 良い感じでしたし、できればそれを付けていたいという気持ちも伝わってきました。 似合っているから付けていたほうがいいよ、と伝えました。 ニックが焦り始めたので、ほとんどリハーサルもせずに撮影に取り掛かりました。 開始が遅れて、午後にはスティッフのライブに行かないといけなかったので、 時間が無くなってきていました。

撮影を始めると、ケイトはすぐにダンスに没頭し、熱心に練習をしてきた様子が見えました。 全曲をできるだけ多く繰り返して、いろんな場所で、ときどき止めながら、 引きの絵から極端なクローズアップまでいろいろなサイズを試しました。 そうするうちにケイトのダンスは熱を帯びてきて、 髪につけた花がゆるんできてバタバタするようになってきました。 髪の毛が絡まるようなこともあったのですが、 撮影を止めて花を外して全部やり直すには遅すぎます。 ほんとうに時間がありませんでした。 花について、いいよと言ったのはまずかったかなあと思い始めました。 ケイトにもでこぼこの草原でのダンスで疲れが出てきていました。 寒くなってくるころ、何回ものテイクを重ねたあと、撮影を終了して 片付けないといけませんでした。 朝早くの開始で、車がはまってしまったことやダンスには向かない地面、 鈍くて寒い天気といった条件を考えると、ケイトはこれ以上ないほど 協力的で我慢強く、だれに対してもにこやかにふるまっていました。 彼女の声にも慣れてきて、好きになってました。 でも、その曲がヒットするかとか有名になるかとはあまり考えられませんでした。 分かってませんでしたね。 クルーのみんなでケイトをソールズベリ駅まで送りましたが、ロンドンへの電車に 乗り込もうとするときに、彼女は私をはぐして頬にキスしてくれました そのときにはみんあ彼女のファンになってましたね。 それから、スティッフのツアーに向かいました。

撮影監督 マイク・マイルズ