
愛のかたちの40周年を記念するために、9月は毎日1つずつタイムカプセルを作ります。この偉大な作品に関連した人、出来事、モノを、1985年から現在までいろいろ集めます。

愛のかたち –今日の人

ケイトの素晴らしい組曲「ナインス・ウェイブ」の最後に、美しい曲「朝もやの中で」が流れると、だれもが特別な感情を抱きます。ある人にとっては祝祭の瞬間であり、ある人にとっては家族や友人を大事にする幸せな瞬間であり、また曖昧で不吉な感じを持つ人もいるでしょう。聞き手の解釈に関わらず(ケイト自身は肯定的な結果だと考えています)、船の難破という想像を絶する恐怖にさらされてきた主人公にとって、旅の終わりがこの思い出に残る終曲に閉じ込められます。ケイトの傑作を通じて体験してきた感情のすべてが、ここで安心できる海岸に到達し、トラウマは静まってきます。平和と救助が視界に入ってきました。朝もやの中での曲で、暖かく優しい忘れられないアコースティック・ギターを奏でているのは、オーストラリア生まれのギターの名手ジョン・ウィリアムズです。

1984年の「愛のかたち」セッションでのジョン・ウィリアムズ – 写真:ジョン・カーダー・ブッシュ
ジョンは著名なクラシック畑のギタリストで、映画「ディアハンター」のテーマ音楽での世界的ヒットで知られています。 ファンクラブのニュースレターで、ケイトは1984年にこの曲でのジョンとの共演について 書いています。「共演していてとても楽しい方でした。熱心に取り組んでくれて話も面白く、望むものを作るのに時間はかかりませんでした。リズムマシンに合わせての演奏で、微妙なニュアンスが必要なライトな曲では難しいものですが、まったく問題ありませんでした。ポール(ハーディマン)が、かなりライブな部屋でジョンのギターの近くにマイクをセットして、美しいサウンドにしてくれました。使ったのは定番のノイマンU87マイクです。」

愛のかたちについての最近の著書の中で、リア・カルドスは朝もやの中でについてこう書いています:「Bメジャーの曲で安心できる明るさで、BからAsus2、E/G#と降りてまた戻り、暗さや危険な感じはありません。ジョン・ウィリアムズの二重録りしたナイロン弦ギターは、繊細なピッキングのリズムと、陽だまりに溢れるような甘い即興のメロディで、穏やかに脈打つリンのドラムシーケンスを装飾しています」

1985年に行われたミュージシャン・マガジンのインタビューで、ケイトはこの曲へのジョン・ウィリアムズの関わりについて語っています。
「B面のナインス・ウェイブのコンセプトの一環として、最後の曲はとてもポジティブで、なにもかも完全に死んでしまうというのではなく、すべてが光の中に飛び出して突然生まれ変わるというようなイメージが必要でした。アコースティックギターは、とても繊細で高揚感のあるサウンドだと思いました。それでアコースティックギターの音でフェアライトのパートを書いて、それに合わせて曲を書きました。それでも、実際のギターほど良い音ではないと思ったのです。ジョンとは、同じアビー・ロード・スタジオで制作をしていたときに、何度か会ったことがあります。彼にレコーディングに参加してもらえるか聞きました。そのパートはだれかに書いてもらったので、ジョンの演奏は本当に手早く進みました。彼は自身の人格を作品に投影する素敵な方法を持っています。小さなトリルとか、そういうもので。すばらしいことです」
2014年にハマースミスで開催されたビフォア・ザ・ドーンのコンサートでの朝もやの中ででは、この繊細で美しく感情的なギターの演奏ために、ケイトは優秀なアイスランドの演奏家フリドリック・カールソンの才能をステージ上で活用しました。フリドリックやその他のバンドのメンバーが、ステージ上で作ってくれた刺激的で楽しい忘れられない瞬間でした。
愛のかたち –今日のできごと

ちょうど40年前の1985年9月21日、フランスのテレビ番組「Demain c’est Dimanche」で神秘の丘でもう一つ古典的なパフォーマンスを行っています。
ケイト・ブッシュのお気に入りミュージシャンとの豪華なパフォーマンスです。ギターはデル・パーマー、曲と同じバラライカを演奏するパディ・ブッシュ、ケイトの大好きなドラマースチュアート・エリオットがドラムを叩いています。

素晴らしいラインナップです。これを見ましょう。これほどスタンダードなKBドリームチームがあるでしょうか。デル・パーマー、ケイト、スチュアート・エリオット、パディ・ブッシュ。すばらしい。脱帽です。鉄壁のパフォーマーたちです。

愛のかたち –今日の作品
(katebushcollectables.comのご協力でお届けします)
ケイトの5枚目のスタジオ・アルバムのプロモーション用の1985年のフランスのポストカードです。ケイトのフランスのレコード会社は愛のかたちを「今年のレコード」と呼んでいます。

神秘の丘は1985年にフランスのシングル・チャートで24位を記録しましたが、2022年にはケイトの驚異的なチャート復活がグローバルで発生し、同チャートで3位を記録しました。すばらしい。アルバムのレビューが、ジャーナリストのフランシス・ドルドールによってフランスのロック雑誌ベストの11月号に掲載されました。神秘の丘は「今年最も美しいシングルの1つ」と賞賛されました。
愛のかたち –今日のトリビア
「羊の夢では、ケイトのお母さんのハンナ・ブッシュが「Come here with me now」という歌詞を歌っています。ケイトは1987年にKBC誌で歌詞のこの部分の素敵なバックストーリーを語っています。
「一緒に仕事をしていたエンジニアが、『Come here with me now』という歌詞を選びました。どうしてそんなに好きなのかと聞くと、『分かりませんが、ただ好きなんです。とても感動的で心がやすらぎます』ということでした。歌詞の内容は正確には知らなかったと思いますが、この曲は誰かが水の中で眠り、そこで一人で怯えている状況を歌っています。状況から逃れるために眠りたいと考えます。しかし同時に、水の中で寝るのは危険で、溺れてしまう可能性があります。私が小さい頃、怖い夢を見ると、両親の寝室に入って、ベッドの母の側に向いました。

母は眠っていて、私は起こしたくないので、私はそこに立って、私の存在に気づいて目を覚ますのを待ちました。いつも数分以内に気づいてもらえました。ときどきは、暗闇に立っている私のナイトドレス姿で驚かれました。私が「悪い夢を見たの」と言うと、母は寝具を持ち上げて「Come here with me now」と言うのです。この曲でその部分を話しているのは私の母で、録音の前に曲の背後にあるアイデアを伝えました。例のエンジニアが感じたのは、その母としての慰めだったと思います。実際、彼(エンジニア)はこれがアルバムの彼のお気に入りの部分であると言いました。」

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