2025年9月5日金曜日

愛のかたち40周年:5日目

愛のかたち40周年 – 5日目

愛のかたちの40周年を記念するために、9月は毎日1つずつタイムカプセルを作ります。この偉大な作品に関連した人、出来事、モノを、1985年から現在までいろいろ集めます。

You want my reply? What was the question? I was looking at the Big Sky...

愛のかたち ― 今日の人

デル・パーマー
デル・パーマー

この曲(「神秘の丘」)では伝えたいことがあって、デルにドラムのパターンを書いてもらうよう頼んだのですが、ドラムマシンでこの素晴らしいパターンを書いてくれました。それで私はフェアライトをその上に置いただけで、曲の基礎ができました。そこに入れたドローンがかなり重要な役割を果たしました

ケイト自身を除けば、かけがえのないデル・パーマーほど「愛のかたち」のアルバムの制作について熟知している人は他にいません。全過程を通じて彼女のそばにいました。デルがいなくなったのは本当に残念です。ベース奏者としての彼の素晴らしい腕は、ケイトの初期のアルバムやライブワークでは常に目にするものでしたが、レコーディングエンジニアになるべく独学で学んだこと(ケイトが「ドリーミング」アルバムのために集めたスタジオの達人を熱心に観察して学んだこと)によって、ケイトが前例のない新しい音楽的野望を実現するのを手助けすることになりました。

1984年の愛のかたちのレコーディング中のデルとケイト

ケイトはスタジオのデモをベースにこのアルバムを制作しましたが、神秘の丘ではデルがプログラムしたリンドラムが軸となっていて、後にスチュアート・エリオットがタムとスネアを追加して補強したのは有名です。デルは、めったに受けないインタビューの中では、上品にいつもケイトの功績を称えていましたが、ケイトも当時の恋人であり、最も近い音楽仲間であるデルに賛辞を送っていました。1985年、ホームグラウンドとKBCのファン・コンベンションで、トニー・マイアットのインタビューでケイトは次のように述べています。

「デル・パーマーからは大きな影響を受けたと思います。最初に曲を作りかけていたときに、望んでいたパターンをリズムボックスで作ってもらいました。ベース奏者として、リズムを非常に自然に理解していて、ドラムを操作できたと思いますし、私の頭の中で聞こえたパターンを実際の形にすることができました。

ドイツのテレビでケイト、ケビン・マクレーと共に神秘の丘を演奏するデル(1985年)

インタビューでは、デルも常にケイトの作品をぜっさんしていました。「ケイトと激しい議論を交わしたことも何度もあります。私は何かがうまくいかないだろうと言うと、彼女は「好きなようにやらせて。お願い」などと答えたものです。たとえば、愛のかたちのアルバムには、「Help me, baby, help me, baby」というパートがあって、カットインとアウトがとても素早いのですが、テープをひっくり返して、レコードスイッチでカットイン/アウトしたいと言いました。私はそれだと大変なことになると言いましたが、ケイトは「やってくれるでしょう?」と言いました。そして、その通りに作ると、うまく行って、私は降参せざるを得ませんでした。」

1984年発行のケイト・ブッシュ・クラブのニュースレターでは、クラウドバスティングで使われたストリングスセッションを録音した日のことについて技術的に詳細に記しています。スタジオ環境のいろいろな機材の話を始めて「EQ」、「カーディオイドマイク」、「PCR」、「プレコーラル・リフレイン」(ケイト自身の言葉)などの用語をファンに向けて説明しているとき、いちばん嬉しそうでした。ケイトがスタジオに入ると、新しい魔法に取り組んでいる魔法使いみたいでした。とても複雑な作業になります…」デルは「愛のかたち」の制作中にアイルランドに行って約1か月滞在したのを素敵な思い出だと言っていました。「アイルランドの西海岸をあちこち回って、それから2週間ダブリンに行きました。B面の曲はほとんどアイルランドで作り、あとの曲はロンドンで作っていました」と回想しています。このアイルランド訪問については、2018年に、ダブリンでデルとポッドキャストエピソードのチャットで詳しく話しています。あの頃について、もうデルから話を聞くこともできないのは、本当に残念です。本当に素晴らしい人でした。

愛のかたち ― 今日のできごと

愛のかたちのアルバム発売、ロンドンプラネタリウム、1985年9月5日
愛のかたちのアルバム発売、ロンドンプラネタリウム、1985年9月5日

これほど画期的なアルバムを作り、大きな反響を受けるなどということが考えられるでしょうか。40年前のこの日、1985年9月5日に、ケイトはロンドンプラネタリウムで行われたパーティーでこの素晴らしいアルバムを発表しました。アルバム全体が、レザリウムという会社の(当時の最先端の)レーザーショーとともに流されました。「魔女」の場面をこちらで見ることができますが、本当に味わうには会場にいなければならなかったと思います。ケイトの家族や、アルバムに参加したミュージシャンの多く、さらには犬も1、2匹参加していました。

アルバムの発表で仲間の宇宙飛行士とポーズをとるケイト
アルバムの発表で仲間の宇宙飛行士とポーズをとるケイト

彼女のカムバックシングルにすでに衝撃を受けていたマスコミも押しかけていて、彼女の素晴らしいニューアルバムにまたしても驚かされようとしていまし。このイベントではケイトの写真が数年前よりも多く撮られていましが、その理由の一つは、彼女が当時のボーイフレンドであったデル・パーマーと初めて公の場に出ることにしたからです。

「愛のかたち」のアルバム発売イベントでのケイト

このことについて、ケイトは1985年にホット・プレスのインタビューで聞かれています。「アルバムの発表イベントがあって、一緒に行かないのか、一緒に行って普通に振る舞うのか、本当に難しい決断でした。一緒に行かないのはばかげていると思ったので、一緒に行きました。みんな2人の写真を欲しがりました。2人ともびっくりしたのですが、あれほどの数のカメラを向けられたのは久しぶりのことでした。デルは、あんな状況をそれまでに経験したことがなかったと思います。ですので、突然すべてが暴露されたというわけではありません。発表イベントにデルがいたというだけの話しです。でも、喜ばれましたね

アルバム発表イベントでのケイトと愛の「ハウンド」
アルバム発表イベントでのケイトと愛の「ハウンド」

愛のかたち ― 今日の作品

katebushcollectables.comのご協力でお届けします)

愛のかたちUKプロモーションプレスパック

40年前の今日、プラネタリウムで開催された愛のかたちのアルバム発表イベントに参加できたのなら(デイブ・クロスさんは参加されてました。嫉妬などしてません)、この素敵なアイテムを手に入れたはずです。愛のかたちのUKプロモーションプレスパックのフォルダーです。それは(ステッカー付きの場合もある)販売用アナログ盤リリースに加えて、2ページのプロフィール紹介、1ページのトラックリスト、宣伝資料、ケイトのプロモーション写真が3~4枚含まれていて、特大のリボンで結ばれた折りたたむのスリーブでした。素敵です。

愛のかたち ― 今日のトリビア

愛のかたち」の曲の冒頭の「It’s in the Trees…It’s Coming!」は、ジャック・ターナー監督の1957年のホラー映画「悪魔の呪い」から取られています。1993年のケイトの映像作品「ライン、クロス、カーブ」も同じホラー映画からインスピレーションを得ており、神秘的なシンボルが書かれた小さな紙を持っていることによって、大きな力を備え、呪文を遅れるという考えです。

インタビューでケイトはこう語っています「誰もが何らかのレベルで人間関係を怖がっていると思います。実際にはこの曲は、古いイギリスの白黒映画『悪魔の呪い』にインスパイアされているのですが、信じられないほど陳腐で効果的ではないたくさんの他の映画の中で残っている偉大な作品の一つで、本当の雰囲気を持っています」この映画の台詞は、愛のかたちのシングルの裏ジャケットにジョン・カーダー・ブッシュのカリグラフィーであしらわれています。

愛のかたちの7インチシングルバージョンの裏ジャケット
愛のかたちの7インチシングルバージョンの裏ジャケット

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