
愛のかたちの40周年を記念するために、9月は毎日1つずつタイムカプセルを作ります。この偉大な作品に関連した人、出来事、モノを、1985年から現在までいろいろ集めます。

愛のかたち ― 今日の人

作曲家、指揮者、編曲家であるマイケル・ケイメンは、数多くの映画のサウンドトラック録音や、多年にわたるポップ・ミュージシャンやロック・ミュージシャンとのコラボレーションで知られています。ケイトとの仕事には、1985年のテリー・ギリアムの映画のための曲ブラジルの録音や、アルバム「愛のかたち」、「センシュアル・ワールド」、「レッド・シューズ」、「エアリアル」のオーケストラアレンジなどがあります。ザ・フォッグ、ディス・ウーマンズ・ワーク、モーメンツ・オブ・プレジャー、プロローグ、ペインターズ・リンクといった曲に魔法を加えています。

「愛のかたち」のアルバムでは、マイケルはこんにちは地球の美しく複雑なタペストリーでオーケストラをアレンジしています。ケイトは1985年にケイト・ブッシュ・クラブのニュースレターでマイケルについてこう書いています。「この曲はマイケル・ケイメンによるオーケストラ・アレンジをフィーチャーしています。マイケルとの共演は素晴らしいものでした。とても感受性の強い人で、このトラックでの彼のオーケストラアレンジにはとても雰囲気があると思います。この曲にいくつもの層が重なっていくのを見ていたのは素晴らしい体験でした」
1996年に多発性硬化症と診断されたにもかかわらず、非常にアクティブに活動を続け、亡き母が彼に3つの「W」、すなわち知恵(wisdom)、ウィット(wit)、暖かみ(warmth)を教えてくれたと言っていました。マイケルは2003年にアルバム「エアリアル」のためにアビー・ロードのスタジオでケイトとの仕事を終えた直後、2003年11月18日に55歳の若さで自宅で亡くなりました。

愛のかたちの時期のケイトの珍しいボーカルをきくために、1998年にリリースされたマイケルのアルバム「マイケル・ケイメンの作品」をチェックしてみるのもよいでしょう。これには、テリー・ギリアム監督の映画「ブラジル」とは全く異なるテイクと再録音されたオーケストラのバック(シアトル交響楽団)が収録されており、ケイトの最近のレア曲コンピレーション「ジ・アザー・サイド」(映画のオリジナルサウンドトラックのもの)とは異なっています。

ケイトが録音したブラジルは、実際の映画にもオリジナルのサウンドトラックリリース(ロンドン・ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団と録音)にも含まれていませんでした。しかし、後にブラジルのサウンドトラックの再プレスでリリースされました。マイケルのアルバムも、マイケル・ケイメン・サウンドトラックアルバムとして、一部の地域で発売されました。ブラジルという曲は、作曲家のアリ・バローゾが1939年に作曲した曲で、当初はAquarela do Brasil(ブラジルの水彩画)と呼ばれていました。
愛のかたち ― 今日のできごと

アルバム「愛のかたち」収録のケイトの歌は、数年後あるいは数十年後にもさまざまな形で人々の意識の中に定着しています。1992年5月25日にリリースされたエレクトロニック・ミュージックデュオ、ユタ・セインツ(ジェズ・ウィリスとティム・ガ―バット)による「サムシンググッド」は、ケイトの声をサンプリングした初めてのメインストリーム・ダンス・シングルとなりました。ここでは、クラウドバスティングの中の歌の一部、「Ooh I Just know that something gonna happen」が、トラック中の弦の音を加工したものと一緒に使用され、ハイパーキネティックで爽快な効果を作り上げています。「我々はピッチベンディングを使用してサンプルをビートに合わせてプレイすることでサンプリング効果を得ました」とガ―バットは説明しています。ユタ・セインツは1991年にアニー・レノックスの曲「ホワット・キャン・ユー・ドゥ・フォー・ミ―」のサンプリングでイギリス・トップ10入りを果たしています。
サムシンググッドは大成功を収め、イギリスとアイルランドの両方のシングル・チャートで4位を獲得し、アメリカのビルボード・ホット・ダンス・クラブ・プレイのチャートでは7位を獲得しています。この曲は7インチ、12インチ、CDシングル(追加トラックには12インチのミックスと「051ミックス」を収録)で発売されています。BBCは、1992年のバルセロナオリンピックの開会式の報道でこの曲を使用しました。サンプリングを許可しただけでなく、ケイトはこのバンドに「クラウドバスティング」のビデオのクリップをミュージックビデオに使用することを許可しています。ケイト・ブッシュのファンにとっては、ケイトの7枚目のアルバムのリリースを待っていたときに、かなりの時間ケイトがテレビに映ることになったのは、とても楽しいことでした。
1992年5月、メロディーメーカーのジョン・ワイルドは「ケイト・ブッシュの魅惑的な『クラウドバスティング』がサンプリングされて良い効果になっており、ある種扇情的な雰囲気が満載の渦巻くようなエレクトロニクス音楽に変換されていて、ごくありふれた作品とは明らかに違う別格の作品になっています」と書きました。2022年、ローリング・ストーンは「史上最高のダンス・ソング200」のリストでサムシンググッドを134位にランク付けしました。
ユタ・セインツはイギリスのBBCテレビのトップ・オブ・ザ・ポップスでこの曲を演奏してシングルのプロモーションを行いました。よく見ると、DJがケイト・ブッシュ2枚の公式7インチ・ピクチャー・ディスク(ディス・ウーマンズ・ワークと大空ターンテーブルに乗せているのが分かります。

バンドのティム・ガーバットはガーディアンのインタビューでこのサンプルの使用について語っています。「サムシンググッドでは1985年にケイト・ブッシュがヒットさせた『クラウドバスティング』の曲を再利用しました。彼女が正式にサンプリングを許可した唯一のアーティストであることを非常に光栄に思っていますし、それは彼女の歌から何か新しいものを作り出したからであると思いたいです。サムシンググッドがそれ自体として成立するように曲を使用しました。いまだに、トラック中の歌がケイト・ブッシュのものであることを知らなかった人々からのツイートがあります。ケイトはとてもミステリアスなスーパースターであり、あらゆる面で立派な人物です。彼女に感謝の手紙を送りましたが、彼女がそれを見たかどうかはわかりません」

「私たちはずっとケイト・ブッシュのミステリアスさを怖いと感じていました」とウィリスは告白します。「長い間活動してきていろんな人と仕事をしてきましたが、それでもまだ何人かのアーティストには畏敬の念を抱いていて、意味のある会話をすることはできないと思います。今は大丈夫ですが、当時はケイト・ブッシュのミステリアスな姿と素晴らしく創造的なアーティストであることをとても恐れていました。彼女の音楽は単なる音楽ではなく芸術もあるように感じます」と語っています。
ケイトはその後、愛のかたち収録の作品のサンプリングをいくつか許可しています。ダファー・ブラザーズにはストレンジャー・シングス向けに神秘の丘、レジェンド・オブ・オチの映画の予告編での使用許可(愛のかたち)、フランスのアーティストであるポーンの素晴らしいアルバムケイトと私(アンダー・ザ・アイビー、羊の夢など様々な曲)のサンプルの使用を許可しています。
愛のかたち –今日の作品
(katebushcollectables.comのご協力でお届けします)

本日は非常に珍しいもので、今は世の中にないVHDフォーマットでケイト・ブッシュがリリースした唯一の作品、ザ・ヘアー・オブ・ザ・ハウンドの日本版VHDビデオEPです。日本でJVCが主に販売していた片面最長60分のアナログビデオディスクフォーマットです。光学式のレーザーディスクとは異なり、VHDフォーマットは実際に物理的なスタイラスで読み取られました。日本国外では数多くの競合フォーマットと対抗することになり、VHDのリーチは非常に限られていました。「ザ・ヘアー・オブ・ザ・ハウンド」のVHDには歌詞シートが付いています。

ザ・ヘアー・オブ・ザ・ハウンドは、1986年6月16日に世界中でリリースされたビデオEPで、神秘の丘、クラウドバスティング、愛のかたち、大空という愛のかたちのアルバムのために作られたプロモーションビデオ4本がすべて収められています。イギリスとヨーロッパではVHSテープで発売され、日本ではレーザーディスク形式とこの珍しいVHDで発売されました。このコンピレーションは、同年の後半にケイトが4つの愛のかたちとケイトの他のミュージックビデオ9つを含むビデオコンピレーション「ケイト・ブッシュ・ストーリー」がリリースされると、急速に取って代わられました。
愛のかたち ― 今日のトリビア
1984年、ケイトはダブリンにある有名なウインドミル・レイン・スタジオで愛のかたちのためにアイルランドのセッションを録音しましたが、この建物がすでに存在していないことをご存知でしょうか。この有名なアイルランド音楽の中心地は、14年間はリフィー川の南岸から離れた場所にあろ。90年代初頭に近くのリングセンドに移転しました。
ダブリンのドックランズ地区の光り輝く新しく開発されたエリアでは、現在はその最初の場所を示すために、市内の街並みになかなか珍しいものが最近追加されました。それは歩道に設置されたパースペックスガラスの下に埋め込まれ、夜にライトアップされるのですが、ウインドミル・レインで録音された有名なアルバムジャケットを並べた「ビニールウォークウェイ」です。U2、クラナド、ウォーターボーイズなどのレコードと並んで、ケイトの「愛のかたち」も確かにそこに入っています。クラナドのボーカルであるマリー・ブレナンは、プレス発表時にその場に立ち、1980年代のスタジオでの楽しさと創造的な雰囲気について熱く語りました。

2019年3月にこのウォークウェイが開通した日に、katebushnews.comのニュース記事にしようとその場所を訪れました。そこに立って、そこで行われたセッションを想像しようとしました。ケイトとデル・パーマーがそこに座り、アイルランド伝統音楽のスターたちが並びます。ブーズーキとボドランのドナル・ラニー(プランクシー)、ホイッスルとフィドルのジョン・シェアハン(ダブリナーズ)、堂々としたイリアンパイプス奏者のリアム・オグ・オフリン(プランクシーのもう1人の創立メンバー)がスタジオを埋めます。マエストロのビル・ウェランのアレンジで嵐のように、またこの上なく美しく曲を奏でます。そしてその豊かな音楽のレイヤーが、「羊の夢」、「ジグ・オブ・ライフ」、「こんにちは地球」などの曲で、ナインス・ウェーブの大きな部分を定義していきます。ケイトのミュージシャンに対する尊敬と敬意は明白です。ケイトは彼らをイギリスに呼ぶのではなく、アイリッシュ海を横断して、アーティストの故郷である身近な環境で録音したのです。

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