2025年11月5日水曜日

エアリアル20周年:5日目

エアリアル20周年:5日目

エアリアルのアルバム20周年を記念して、今週は11月7日(発売記念日)まで毎日1つずつタイムカプセルを作ります。これは、ケイトのすばらしい8枚目のスタジオアルバムに関連するイベント、人、物品などを、その日ごとに集めたものです。多くの人にとって、まだ「新しい」アルバムだと感じられるはずで、とても20年経ったとは思えませんが、このアルバムからはまだまだ美しい贈り物が現れて続けています…

エアリアル – 今日のできごと

ケイトは、自分の仕事を宣伝するために、インタビューの録画を出すことはもうやりたくないと考えているようでしたがが、2005年にアルバム「エアリアル」がリリースされると、ケイトはラジオというメディアを喜んで受け入れたようです。厳選された印刷メディアのインタビューと合わせて、その後のすべてのプロモーションのパターンになったようで、「ディレクターズカット」、「雪のための50の言葉」、「ビフォー・ザ・ドーン」のライブアルバム、2022年の「神秘の丘」の成功、そして最近では昨年の「トガリネズミの子」のアニメーションにも、すべて思い出に残るラジオでのインタビューがありました。ほとんどの場合は、お気に入りのBBCラジオです。

ときには、ラジオDJのためにご褒美のような充実したインタビューを受けたこともありました。それは、尊敬すべきマーク・ラドクリフです。早くも2004年8月から、このBBCラジオ2のDJは、自分の番組の「ベスト3」にケイトのレコードが選ばれて以来、ケイトに常に言及していました。ケイトの作品のファンであるマークは、スタジオで「ブッシュ・オ・メーター」を始め、毎日それを評価していました(ケイトからの出演や電話インタビューを受けるという返事を待っている日数を示す)。

最終的に、その粘り強さは報われたのです。彼のとても声高なオンエアキャンペーンにくすぐられて、ケイトは長時間のインタビューを受けて、エアリアルのリリースの日に1時間の特別番組「トーキング・ウィズ・ケイト」として放送されました。これはケイトの自宅で録音され、マークには素敵なチーズフランが振る舞われました。完全版を上で聞けます。

ケイトはBBCラジオ4の番組「フロント・ロー」のジョン・ウィルソンを相手にも喋っていて、ウィルソン(とマーク・ラドクリフ)からは、2011年のアルバム「ディレクターズカット」と「雪のための50の言葉」でもインタビューを受けています。どちらのエアリアルのインタビューでも、ケイトがリラックスして楽しそうにしているように聞こえ、「有名人」のナンセンスな虚飾の世界から離れて、自分のキャリアをどのように進めようと決心していたか分かります。ケイトとジョン・ウィルソンの完全な会話は、アビーロードのスタジオのペントハウススイートで録音されました。

2005年11月11日、ケイトはラジオ・フランスでベルナール・ルノワールが司会を務めるラジオ番組でヒューゴ・カサベッティのインタビューを受けています。このインタビューの書き起こしをこちらで読むことができます。その中で彼女は絵画について語り、新しい音楽がリスナーに喚起するようなビジュアルについても語っています。

「私は絵画が本当に大好きなんです。美しい絵を見ると本当に楽しくなりますし、それは私にはできないことです。ある意味では、私が作るものは時間の流れとつながっているので、動画に近いんだと思います。映画のようなもので、私にとっていろいろな意味で視覚的なものです。色とかそういうものは見えません。音楽に色が見えるという人がいるのも知っています。誰かに前に言ったことがありますし、気取った言い方になりますが、そこには比較があると思います。リードボーカルは、映画の主役のようなものです。そこに他のいろいろなものが乗って、まるで風景のようになるのです。言ってること、分かりますか?誰かが2枚目のディスクを聞いたときに、本当に言ってくれたことなのですが、私が今までに受けた中でも最大の賛辞でした。レコードを聴いているという感じではなくて、映画か何かを観ているようだった、と言うのです。素晴らしいと思いました。

エアリアル – 今日の人

ロル・クレーム
ロル・クレーム

ロル・クレームはイギリスのミュージシャン兼ミュージックビデオ監督で、代表的なヒットシングル「アイム・ノット・イン・ラブ」でのバンド10ccとの仕事で最もよく知られています。その後に、10ccのドラマーのケビン・ゴドリーと組んで、ポップ・デュオ「ゴドリー&クレーム」の一員になりました。ロル・クレームはトレバー・ホーンのバンドともコラボレーションしています。歌と、ギター、ベース、キーボード演奏をします。

エアリアルのアルバムでは、ロルはπ~円周率ノクターンでバッキングボーカルを歌っています。2005年の自身のファンページで、次のように書いています。「ケイトのアルバムに関しては、1枚目の2曲目に参加していて、「π~円周率」でコーラスを歌っていて、2枚目では「ノクターン」という曲の最後で歌っています。じっさいのところ、私はこの2枚目を車の中で何度も何度も繰り返し聴いています。とても耳に優しいのです。

1980年代のゴドリー&クレーム(右はケビン・ゴドリー)
1980年代のゴドリー&クレーム(右はケビン・ゴドリー)

ケイトは、ロルや共同制作者であるケビン・ゴドリーと交流があったのでしょうか。1980年代には、この2人は高く評価され、影響力のある映像監督でした。ケビン・ゴドリーは、ガーディアン紙にデュオを結成した経緯を語っています。「ロル・クレームと私は成功の頂点で10ccを離れたのですが、それはやることが繰り返しになり始めていると感じたからです。2人とも美術学校出身で、視覚的に考えていました。その段階ですでに、映像製作者が2人デビューを待っていたことになります」。

ケイトは、「ザ・マン・アイ・ラブ」(1994年のラリー・アドラーとのデュエット)のビデオの監督でケビン・ゴドリーと仕事をしています。2019年に「ジ・アザー・サイド」のCDコンピレーションがリリースされた際に、公式サイトにこのことを書いています。「シングルとしてリリースされ、ケビン・ゴドリーがビデオの監督でした。ケビンと仕事するのは、  想像力に富んでいて楽しいものでした」

ケビン・ゴドリーは「ザ・マン・アイ・ラブ」(1994年)のミュージックビデオを監督。

彼とロル・クレームとは、ピーター・ガブリエルの曲「ドント・ギブ・アップ」のビデオを監督してくれたとき、一緒に仕事をしたことがありました。ケビンは伝統的な方法でビデオを作ることを選びましたが、この曲にとてもよく合いました。ゴドレー&クリームは、圧倒的な才能があり、バンド10ccにおける知性とウィットで音楽業界に足跡をのこしただけでなく、画期的なビデオで映像業界にも足跡を残し、多様なアーティストと共作しています

ケビン・ゴドリーとロル・クレームが監督した「ドント・ギブ・アップ」のビデオ。

ゴドリー&クリームは自らのヒットシングル「クライ」で有名なビデオを作りましたが、ケビンによれば「キャスティングブックから顔をたくさん選んで、全員がその歌を歌ってように撮影しました。リップシンクができると言う人もいたがそれは実現せず、それでもモノクロ35mmで美しく見えました。モルフィング以前の時代だったので、「ワイプ」と呼ばれるものを使いました。つまり、1つの顔が別の顔に溶けるように変わるのです。男性から女性に変わったりパンクに変身したり老人に変身したり、それまで存在しなかった存在を創り出したのです。魔法のように感じました。もちろん、ロルと私の顔も入っています。私たちの「プランB」は、1980年代で最も話題になったビデオの1つになりました

エアリアル – 今日の作品

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エアリアルの楽譜本 – 楽譜のあるページ

コレクターにとっては悲しいことに、キング・オブ・ザ・マウンテンシングルの楽譜は出版されませんでしたが、アルバム「エアリアル」については、美しいプロデュースのエアリアルの楽譜集(ISBN 0571525083)が、2006年1月にフェイバー・ミュージックからイギリスで出版されました。

エアリアル楽譜本の表紙(2006)
エアリアル楽譜本の表紙(2006)

アルバムのアートワークがぜいたくにあしらわれていて、すべての曲のピアノに加えてボーカルラインとギターコード図も入っています。全体的にはアルバムとペアになる美しい本で、適当な価格で手に入る機会があれば、買い求める価値があります。

エアリアル楽譜本

エアリアル – 今日のトリビア

インダス川渓谷の鳥狩り – 写真:ランディ・オルソン
インダス川渓谷の鳥狩り – 写真:ランディ・オルソン

アルバム「エアリアル」に付属のブックレットの中の鳥をテーマにしたイメージの一部として、ケイトは写真家ランディ・オルソンの印象的なイメージをノクターンの歌詞に添えて使用しています。これは、ナショナルジオグラフィック誌の2000年6月号(Vol. 197, No.6)表紙を飾った鳥のデコイマスクを被ったパキスタンのハンターの写真です。ケイトはこの写真をとても気に入っていて、2018年に発売されたCDボックスセット「リマスター・パート2」のカバーにも採用されました。

ナショナルジオグラフィック誌2000年6月号と「リマスター・パート2」CDボックス。
ナショナルジオグラフィック誌2000年6月号と「リマスター・パート2」CDボックス。

オルソンが撮った一連の写真では、男たちが頭を揺らして泳ぐ鳥になりきって近くにいる野鳥を誘惑し、手で捕まえています。この方法は紀元前3,300年頃から使われていて、この狩猟スタイルを示す遺物が残されています。インダス川流域には古代文化の驚くべき遺産がいくつも残っています。最大の無傷の遺跡であるハラッパン(モヘンジョ・ダロ)からほど近いところで、モハニスの漁師が、4,600年前のテラコッタや石板に描かれた平底船のスタイルを今も忠実に再現しており、バードハンターたちは今でも5,000年前の鳥の捕獲方法を実践しています。

インダス川流域の鳥狩り – 写真:ランディ・オルソン

猟師は飼っているサギを川面の輪に結びつけ、本物の鳥の皮で作ったマスクをつけて首まで沈みます。頭を揺らして泳ぐ鳥になりきり、近くに寄ってきた獲物を捕まえるのです。これは、鳥を狩るために古代から使用された方法であることが分かっています、なぜなら、紀元前3300年にさかのぼる鳥狩りを示す遺物が残されているのです。

写真家ランディ・オルソンによる写真をフィーチャーしたエアリアルのアルバムブックレット
写真家ランディ・オルソンによる写真をフィーチャーしたエアリアルのアルバムブックレット

ランディ・オルソンは、社会ドキュメンタリーの分野出身の写真家です。妻のメリッサ・ファーローと共に仕事をすることが多く、過去30年間で50か国以上を仕事で訪れています。「LIFE」、「GEO」、「スミソニアン」などの雑誌への掲載もありますが、主に「ナショナル・ジオグラフィック」誌向けに撮影を行っています。彼らの傑出した作品の詳細は、ウェブサイトのこちらでご覧ください。

エアリアル – 今日の鳥

ズアオアトリの歌は、大きくて、泡立つような音がつながったもので、高い音から始まって徐々に音程が下がり、最後はオオカミの喉声のような鳴き声で終わります。これが何度も繰り返されます。呼び声は大きな「ピン」という声で、飛んでいる間には抑え気味の甘い笛のような音になります。
ズアオアトリの歌は、大きくて、泡立つような音がつながったもので、高い音から始まって徐々に音程が下がり、最後はオオカミの喉声のような鳴き声で終わります。これが何度も繰り返されます。呼び声は大きな「ピン」という声で、飛んでいる間には抑え気味の甘い笛のような音になります。オスの写真。

ケイトのビフォー・ザ・ドーンのコンサートでの華やかな拡張版のプロローグには、ズアオアトリの声が入っています。ズアオアトリはアイルランドやイギリスで最も一般的なフィンチであり、森林、農地、公園、庭園で見られます。冬には、枯野やブナの木の下で、何百もの大きな群れを作ることもあります。雄の胸、顔、腹側はピンクがかったオレンジ色であり、冬になると濃くなってワイン色がかります。首筋と頭部は青灰色です。背中の上部は温かみのある茶色で、背中/臀部はこれと対照的な緑色でが、この部分は降り立つと折り畳んだ翼で隠されてます。メスはほぼ灰色で、下部は白っぽい灰色です。両性とも、全体的には黒っぽい翼に大きな白い模様があり、これは止まっているときも飛んでいるときも見えるので、ある程度の距離でも簡単に見分けられます。両性とも長い尾があり、飛んでいるときには中央部が深い色で外側が白い羽根が見えます。

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