これは歴史に足跡を残したと思うようなイベントがときどきありますが、 これもそういうものでした。クラウドバスティングがロンドンで土曜日の夜、 圧倒的なパフォーマンスを行いました。 天使と小悪魔のアルバムが、(1978年2月17日の)発売40年を記念して、まるごと1枚アルバムの曲順で 演奏されたのです。 チケットは完売で、1000人のファンがイズリントン・アセンブリ―ホールに集まり、 発想豊かで、音楽的完成度が高く、センスのよいステージングで、 ケイトの「夜明け前」のフォーマットをなぞったステージを楽しみました。
第一幕は、ラブ・アンド・アンガー、呼吸、夜舞うつばめ、 神秘の丘といった曲の素晴らしい演奏をフィーチャーしました。 そこから嵐のようなキング・オブ・ザ・マウンテンにつながり、 そのあとステージは片付けられてケイトの初期の写真やデル・パーマーのインタビューが 流れ、天使と小悪魔のA面へと流れます。

イズリントンのステージのマンディー・ワトソン (撮影: ポール・トーマス)
ステージを通して、歌い手のマンディー・ワトソンは ケイトの声のパロディーに陥らず、本物の歌を聴かせてくれました。 彼女のパフォーマンスは最初から最初まですばらしいものでした。 マンディーは一貫してケイトの物まねではなく自分自身の歌で表現しようとし、 歌う曲の本当のファンとして誠意をもって臨んでいる感じでした。 このステージのためにバンドが準備したケイトのややこしい曲を 何の苦もないような感じで歌いこなしたのは、本当に賞賛に値します。 マンディーのバックコーラスに入ったのはジュリア・クラジュースカ (キーボードも担当)と ナディー・キーティングでした。 的確なコーラスワークで補って曲のグレードを上げていました。
天使と小悪魔のときはリンゼイ・ケンプのパフォーマンスの映像がステージ背後に 投射され、サキソホーン・ソングにはヴィッキー・カウルズの 力強いサックスがフィーチャーされました。 曲に合わせてドラマチックな奇妙な現象に続き、 風に舞う羽根のように(カイト) では、サプライズゲストのドラマープレストン・ヘイマンが登場です。 ツアー・オブ・ライフにも同行し、魔物語やドリーミングでもプレイしています。 プレストンさんは客席から暖かい歓迎を受けました。 少年の瞳を持った男ではステージにブリリアント・ストリングスが加わり、 心揺さぶられるダンスを披露したのは他ならぬケイトとダンスや振り付けで共作をしていた スチュワート・エイヴォン・アーノルドとパートナーのトリ・ウッド・アイヴズでした。 スチュワートさんが観客に礼をしたときには、彼がケイト・ブッシュの音楽に合わせて 踊る姿を久しぶりに見ることができて感激でした。 嵐が丘でA面を締めくくりましたが、客席は観客が振る手で満たされました。 そして、B面にはさらに大きなサプライズが用意されていたのです。

スチュワート・エイヴォン・アーノルドとダンスパートナーのトリ・ウッド・アイヴズ (撮影: ポール・トーマス)
休憩時間のあと、ステージ背景にはマカロニウェスタンの画像が出て、 ジェイムズ・アンド・コールド・ガンが始まり、 色っぽいフィール・イットが続きます。 恋って何?を聴くと、このあたりの曲がライブで聴けるのが本当に 珍しいことだと改めて思わされました。 この曲はケイトのデビューアルバムの曲の中でただ1曲1979年のライブで 演奏されなかった曲です。 ラムールは貴方のようの出だしが流れますt:
“…you came out of the night, wearing a mask in white colour…”
そうすると、黒い服装でひげをたくわえ、白いマスクをしたミステリアスな人物が ステージに登場し、俳優のようなお辞儀をして観客にアピールしたあと バンドに合わせてベースを弾き始めました。 そのあとマンディーがこの人物のマスクを取ると、 そこにいたのはなんとデル・パーマーその人だったのです! これは観客も大騒ぎでした – デルさんはもう何十年もの間ケイトの曲をライブで 演奏したことはなかったのですが、 クラウドバスティングのチームからの熱心な誘いを受けて、 珍しく引き受けたということです。

イズリントン・アセンブリ―ホールでのマスクを着けた
デル・パーマー(撮影: ステイシー・ハワード)
デルは続くローリング・ザ・ボールでもベースを演奏しましたが、 この曲ではふたたびプレストン・ヘイマンが登場して、ツアー・オブ・ライフのメンバー再会を 演出しました。 伝説のドラマースチュアート・エリオットが客席にいて、 会場の中で彼が唯一天使と小悪魔のアルバムで演奏をしたプレーヤーであることを デルが指摘すると、観客の歓声の渦が巻き起こります。 ケイトのデビューアルバムの全曲演奏を締めくくったのは、 生命のふるさととストリングスの入ったキック・インサイドでした。

イズリントンのステージでのデル・パーマーとプレストン・ヘイマン (撮影: ポール・トーマス)
そしてさらに、曲はワオへと続いていきます。 この曲はまさに会場にいた人たちの気持ちを代弁するものでした。 サット・イン・ユア・ラップはオリジナルトラックの プレストン・ヘイマンの圧倒的なドラムをフィーチャーしましたが、 彼が演奏する姿がこの日の本当のハイライトでした。 エアリアルのパワーハウスバージョン、いつ聴いても 感動の愛のかたちとバブーシュカ、 ゴージャスなモーメンツ・オブ・プレジャーと続き、 クラウドバスティングの感動のフィナーレを迎えます。 マンディーが、みんなが愛する音楽を演奏させてもらってうれしいと会場に向けて 感謝を伝えました。
ホール外のホワイエでは、巨大なキャンバス地の天使と小悪魔のカバーのプリントが、 ケイトへのメッセージを書くように置かれていて、 何百というケイトへのメッセージがその日のうちに書き込まれました。 マンディーさん、マイケル・メイエルさん(キーボード担当ねケイト・ブッシュ博士)、 ベースのデイブ・ロバーツさん、ギターのクリス・ヴォイシーさん、 ドラムスのアダム・アギスさん、 視覚効果とプロダクション担当のニック・グレゴリーさん、 みなさんお疲れさまでした! 本当にすばらしい。

サインで埋まった天使と小悪魔のアートワークの前に立つ katebushnews.com のショーン・トゥメイ
追記: 公演の大成功を受けて、3月21日にウルヴァーハンプトンでこのライブが再演されます。 詳しくはこちら のフェースブックのイベントページで見てください。 バンドにはこの人同じく、2人のバックコーラス、弦楽四重奏、サックスが参加します。 そのほかの特別なゲストも入ってくれるかもしれません。