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2019年1月7日月曜日

さらに続くケイト・ブッシュ リマスターと透明人間になる方法へのレビュー

Kate Bush Remastered CD Box 1 雑誌クラシックポップの2019年1月号(販売中)では、ケイト・ブッシュリマスターCDボックスセットパート1を 2018年のリイシューの3位に入れました。$nbsp; 「年末近くになってから、ケイト・ブッシュの過去作品のすべてをパッケージした ものすごいスケールのリイシューが出てきました。 ここで紹介するのは1978年の天使と小悪魔から1993年のレッドシューズまでの アルバムを集めたセットで、もっとも夢を描くアーティストによる15年にわたる貪欲で 幻想的なフォークポップです。 まさにドリーミングです。」  

一方、ビルボード・マガジンでは、ケイトのリマスターボックスセットを 2018年のベストリイシューのトップ10に選んでいます。 ロン・ハートのコメントより:  「ポップスの世界では、ケイト・ブッシュの旧作のリマスタリングというのは、 システィーナ礼拝堂の天井画の修復のようなものです — 完璧なものをどうやってそれ以上にするんでしょう? この2つのすごいボックスセットには、英国の幻想家のいままでの作品が、かつてないほど美しいパッケージ、 かつ良い音で収められています。 さらに追加の4枚組には、いままでにファンに好まれながらも手に入りにくかった 作品が含まれています。 たとえばレッド・シューズの時代の12インチリミックス、1979年のオンステージEPの中の曲、 さらにレアなのはいままで未発表だった1975年のハミングという作品や、 1994年にアイリッシュミュージシャンのデヴィー・スピレーンと録音したものの オフィシャルのリリースは2005年のエアリアルのシングル『キング・オブ・ザ・マウンテン』の B面であったマーヴィン・ゲイのセクシャル・ヒーリングのカバーなどが含まれています。」

Kate Bush Remastered Part 2

オーストラリアのサイトユア・ミュージック・レーダーでは リマスターに関してのブライアン・パーカーの素晴らしい記事をこちらに載せています。記事より: 「ケイトはこれまでに素晴らしい感動的なアルバムを作り続けてきましたが、 旧作すべてを自身のレーベルであるフィッシュピープルからリマスターで発売しました。 過去を振り返ることをあまりしてこなかった彼女にとって、全アルバムをリマスターするという作業は なかなか進んでいませんでした。 完璧な音をもっと完璧にする作業の結果はどうだったでしょうか? それは夢のような音でした。 単にトラックのボリュームを上げるのではなくて、ケイトは(ジェームズ・ガスリーとともに) 音の明晰さにこだわり、アルバムをさらに新鮮な音にしました。 しっかりとしたドラムス、クリアなバックコーラス、はっきりしたシンセのモチーフなど。 過去のアルバムに新しい息吹が吹き込まれたようで、 音がさらに鮮やかに、彩りを持ち、彼女のイマジネーションから生まれた作品たちに 新たな生命を与えています。

パッケージはCDもアナログ盤も贅沢な仕上がりです。 アルバムを個別に買うこともできますし、アナログ盤4セット、CD2セットのボックスもあります。 B面曲や12インチリミックスなどのレア曲(少年の瞳と同じころの接所で録音され、 まったくどのようなフォーマットでも未リリースだった『ハミング』など)も入っています。 どんな理由からか、オンステージのEP(最初の1979年のツアーのライブ盤)とか ビックスカイのB面の名曲『ノット・ディス・タイム』は含まれていないのですが、 これはまあ良いことにしましょう。 このリマスターされたアルバムを通じて改めて思い知るのは、 彼女がいかに特別で並外れた才能の持ち主かということです。 妥協を知らないアーティストによる聖典、美の神に忠実であり、 自らのプライバシーを守りながら音楽産業にも同時に貢献しているという ことのすばらしさ。これがケイトです。」

Stuart Maconie UKの著名な音楽ジャーナリストでありBBC6ミュージックのパーソナリティでもある スチュアート・マコニーは、 長年にわたってケイトのレビューを出してきましたが、 UKのフリーペーパーのウェイトローズ・ウィークエンドに最近書いたコラムでも 惜しげない賞賛を送っています:          

「クリエーターとして、ケイト・ブッシュは大ピラミッドを建造した人と同じように、 尊敬の対象であり後世に名を遺す記念碑的な存在だ。 ケイトは急がない。アルバムを出す周期はサッカーのワールドカップとハレー彗星が見れる周期の間ぐらい。 だから自分の人生をそれに重ねてみることもできる。私にとっては、そう。 初めて彼女を見たのは、私が音楽ぐるいのティーンエージャーだったころで、 嵐が丘と天使と小悪魔でたちまち骨抜きにされてしまいました。 愛のかたちのころにはエセックスとウィガンで施し物で生き延びてる始末。 レッドシューズの時期には北ロンドンのスタジオで彼女と会う幸運に恵まれ、 音楽雑誌について喋ったことで運命が変わったような気分に。 TSエリオットのプルーフロックはコーヒースプーンで人生を測ったが、私はケイト・ブッシュの アルバムでそうしたことになる。

あなたが同じようにケイトとの人生を送っていて、アナログ盤やCDがちょっとすり減っている 感じだったりしたら、ちょうどクリスマスシーズンに向けて発売された待ち望まれていた ボックスセット、ケイト・ブッシュ リマスターが欲しくてたまらないだろう。 古臭い批評によれば、とてもユニークで魅力的な初期のアルバム、たとえば嵐が丘は、 その後長い時間をおいて最先端のスタジオで制作されたエアリアルやセンシャル・ワールドのような 熟成されたアルバムに向けてのまだ未熟な助走期間だったということだ。 しかし私にとって楽しめてちょっと変わっているけど純粋でダイレクトに伝わってくるのは 初期の作品なのです。 ポップソングでありながら彼女の人並外れた感覚をもって漉し取られ、仕上げられている。 嘆きの天使、ディーリアス(夏の歌)、ライオン・ハートといった曲は 当時のほかの誰の作品とも違うものでした(その後無数の真似が出てきたけど)。 ローリング・ザ・ボールやハンマー・ホラーといった曲は、 とっても楽しい感じだったり、天使と小悪魔やワオは不気味な雰囲気だし、 暖かい部屋でとかフィール・イットのようにめちゃくちゃセクシーな曲もある。 ケイトのどの時期が好きだとしても、すべてがここに集まっている。 安くはない。しかしこれはUKのポップス界で孤高の輝きを持つアーティストの作品集である。 自身も歌っているように、ワオ! アンビリーバブル!」

ガーディアンでは ケイトの新しい詩集透明人間になる方法レビューを載せています。 ローラ・スネイプスが、ケイトを歌詞を通じて、しかも引用抜きで解き明かそうという記事です:

「この(ジェンダーと力についての)理解は、透明人間になる方法を貫く一つの筋で、 彼女の作品群を10つのセクションに明確な分け方を示さずに分類されています (エアリアルのスカイ・オブ・ハニーの組曲と愛のかたちのB面のナインス・ウェイブだけは そのままのかたちで入っています)。 ここには新しい視点が生まれます。スノーフレークと愛のかたちは、愛に流されてしまいそうな 時というくくりで結びつけられ、 親に不信をいだく子供を描いたクラウドバスティングから 自分を変えてしまった息子に捧げたバーティ―で、錬金術と変革について語っています。

彼女の叙述は静かです。エアリアルのコーラル・ルームでは亡き母のことを『小さな茶色のマグ』で 回想し、センシャル・ワールドのザ・フォッグでは愛の対象が透明なら どうやって愛せばいいのかと問いかけます。 ハウディ二と狂気の家では楽しみに対してオープンでありながら裏切りを避けるには どうしたら良いかという問いかけがなされています。 ジェンダーについてのセクションが2つあります。ジョアニは彼女の持つジャンヌダルクのイメージで、 男性的な戦争好きを告発する曲 (夢みる兵士)と対比されています。 後半ではブッシュは男性と女性の視点の違いを探り、欲望(リーチング・アウト)や 義務(夜舞うつばめ)を題材にしますが、ありきたりの結論にはけっして行きません。

透明人間になる方法から引き出せることが一つあるとすれば、 それはブッシュを理解することが難しいということではなく、 人生は分かりずらいものであるということかもしれません。 愛について、私たちが失ったものについてどれだけのことが分かっているでしょう? 彼女は分からないといって怖気づいてはいません。 それをしのいでゆくには好奇心をもって臨むしかないと彼女の曲は告げているようです。 ちゃんとした文学とばかばかしいようなことを大胆に並べ、 精神的な内省とあらわな現世の欲とをバランスさせ、日常の真実とファンタジーを結び合わせ、 矛盾を恐れることがありません。 最後のセクションには欲望があふれています。 バルトロッツィ夫人での官能的な洗濯物の夢物語や風の吹きすさぶ嵐が丘など。 このような探求を続けてきたことが今のブッシュをかたち作ったのでしょう。 大事なのは彼女から何を学べるかではなく、彼女についてゆくことで何を学びうるかなのです。」

ニュー・ステイツマンでのレビュー 「歌詞が文学になるとき」では、ニール・テナント(ペットショップボーイズ)、 フローレンス・ウェルチ、レナード・コーエンと並べて、4つの音楽家による詩集を題材に 書いています。 筆者のジュード・ロジャースはケイトの透明人間になる方法に格別の賞賛を与えています。

How To Be Invisible 「彼女の本はテナントのものとは異なり、とても魅力的に仕上がっています。 これはおそらく彼女の歌詞が不思議な後世になっていることが多いからでしょう。 彼女は前書きでこう書いています: 『歌詞はすべて曲とは切りなして詩として見直しましたので、 ところどころアルバムにつけた歌詞よりも詳しくなっています。』 ちょっと調べてみましたら、"o'er"というような詩的な表現ぐらいしか 見当たりませんでした。 ちゃんと確認しようと思ったら、何週間もかけてアルバムを聴いて、曲を深く理解しなければ ならないでしょう。 ブッシュはちゃんとすべて分かってやっているようです。

透明人間になる方法では、ブッシュ自身が曲のグループ分けをしていますが、 その分け方は示していません。 そのグループをつなげる金の糸は読者が見出さないといけません。 たとえば雲についての曲(クラウドバスティング、ビッグ・スカイ、ユー・ウォント・アルケミー) があって、雲をめぐる不思議な驚きを歌っています。 また、明に暗に戦争のことを歌っている曲(ピンを引き抜け、呼吸、 エクスペリメントIV)もあります。 夢みる兵士も入っていますが、本の中で読み直すと改めてはっとさせられる曲の一つです。 1980年にチャートの16位に入りましたが、亡くなった戦士についての歌詞を読むと シルヴィア・プラスの荒々しい詩を思い出します。 その中でも圧倒的なのはたとえば“Now he’s sitting in his hole,He might as well have buttons and bows.” というような部分です。

神秘的な関係性についてのテーマも繰り返されます。 サット・イン・ユア・ラップで恋人同士をつなげるロープは、 亡霊のように『ウィーラー街で雪に閉じ込められて』に現れます (それぞれ1981年と2005年の曲ですが、本には発表時期は記されていません)。 愛のかたち(1985年)とエアリアル(2005年)の後半の組曲、ナインス・ウェイブと スカイ・オブ・ハニーにも、普通の文字の連なりだけではない表現が 登場します。 ナインス・ウェイブでの溺れる女性のつぶやきは見開きのページにいろいろなフォントを 使ってリズミカルに表現されていますし、 スカイ・オブ・ハニーの鳥の歌は踊るような手書き文字で書かれています。 ケイトがこれまでにして来たように、表現の幅をどんどん広げています。」

2018年12月19日水曜日

ニューヨーカー誌でケイト・ブッシュ リマスターのレビュー: 「永遠の輝き」

New Yorker article

権威あるニューヨーカーのレビューですが、マーガレット・タルボットは ケイトの作品をリマスターボックスセットで聞き直して、その価値を再発見するという作業に 耽っていたようです。 「ケイト・ブッシュの永遠の輝き」という素敵なタイトルの記事のなかで、 彼女はこんな風に書いています 先月は、ほとんど1週間ずっとケイト・ブッシュ漬けというか熱にかかったようでした。 涙もありました。11月の寒い夜、ちょっとワインでも飲んだあと、ディス・ウーマンズ・ワークを 聴いて泣かずにいられるでしょうか? 絶対に泣かないなんて言う人がいたら、お友達になりたくないですね。 ハイになって踊りだして犬を驚かせてしまったこともあったようですし、 子供たちにアニメーション付きで歌詞をメッセージで送ったこともありました。 子供は22才と19才の2人で、すばらしいことに二人ともケイト・ブッシュファンです。 … 全作品を集めたボックスセットで作品を全部聴きなおしてみると、 パーティーに出かけて、いつもの友人たちではなくて今まで話したこともないような 人たちと話をしているような感覚になります。」

タルボットはこの大作の文章の最後に、バージニア・ウルフの(エミリー・ブロンテについて書いた) 言葉を引用してケイトについてまとめています: 「さるほどに彼女は類まれな力を備えており、 生命の力を物ごとに頼らずに自由に解き放つことができる。 わずかな文章だけで人物に浮かぶ精神を表現できる。荒れ野について語れば 風が吹き、雷鳴が轟く。.」 記事の全文は ニューヨーカーのサイトで読むことができます 

ケイトのリマスターボックスセット、詩集の透明人間になる方法、 さらにTシャツなどの新しいアイテムが、ケイトのオンラインのリマスターのポップアップショップで 手に入れることができます。 そして1月1日までの収益はクリスマスホームレスのチャリティーに寄付されます。 オンラインのポップアップショップはこちら からアクセスしてください。

2018年12月3日月曜日

雑誌アティチュードがケイトのリマスターのレビュー: 「ぜいたくなパッケージで、すばらしいサウンド」

Attitude Magazine雑誌アティチュードでは、サイモン・バトンが ケイトのリマスターを大絶賛しています:

「…美しい… このリマスタリングでのケイトのジェイムズ・ガスリーとの共同作業は まことに素晴らしい。 ボリュームを上げるだけとかではなく、明らかにニュアンスや透明度を向上させている。 神秘の丘のドラムはより生き生きと響き、 バブーシュカの割れるガラスはクリスタルクリアーです。 … ボックスセットは長い間収集家の垂涎の的で、ディス・ウーマンズ・ワークが 最高の作品だというのが改めて証明されました。」 レビューの全文はこちら。リンクはサイモン・ドノバンさんから。

2018年11月22日木曜日

リマスター盤への5つ星レビュー – クラシック・ポップとQ

Classic Pop Cover December 2018

ケイトの衝撃のリマスターへのすばらしいレビューが続いて届いています。 クラシック・ポップのイアン・ギッティンスは5つ星をつけて、 こう評しています。 「全キャリアの作品集がリマスターされて完全版のかたちで再発売されたことが、 ケイトがいかに並外れたアーティストかということを改めて思い知らせてくれました … CD ボックス1 (天使と小悪魔からレッド・シューズまで)は驚くところ満載 … CDボックス2のアルバムは より様式美をもって作りこまれ、普通のポップスのようなインパクトは薄いものの、 天才的な輝きを持っています … 疾走感があり、内臓に響くような、あるいは戯曲のような、 実験的であり、それでいて上質のポップスとして成り立っています。 ケイト・ブッシュは他に類を見ないとても英国的な画期的なアーティストです。」

Q Review

そしてQの最新号では、ヴィクトリア・シーガルがアナログ盤の最初の2セットの レビューを書いています。 ここでも5つ星です。 「ケイト・ブッシュの過去の作品を愛でる理由がまた一つできました … アナログの2集はブッシュの 80年代の華麗な活躍を捉えており、1集はデビューから83年のドリーミングまでフルスロットルで変身を続けるさまを 見せてくれます。」

ケイト・ブッシュを表紙にフィーチャーした例のモジョにも、 評価の高いレビューがありました。 こちらは4つ星です。 ここでは待ちこがれていた過去未発表のあの曲に初めて書いていました: レビューアーのマーク・ブレイクはこう書いています「この未発表だったカントリー風のポップソングハミングを聴くと、 '70年代にKTブッシュバンドを従えて歌っている姿を思い浮かべることができるでしょう。 '80年代に魔物語からドリーミング、愛のかたちへと音楽的に発展していくありさまが 鮮やかに見えます。 ブッシュとガスリーの新しいカッティングで、聴いている者がその場にいるような感覚がもたらされました。 バブーシュカの砕け散るガラスやナインス・ウェイブでの氷の下に閉じ込められているような。 このリマスターで改めて以前の曲に親しみ、再評価する機会ができました。 レッドシューズでナイジェル・ケネディーとやっているイカレたインダストリアルロック、 偽りの綾を忘れてなかったでしょうか? また、B面の曲にもメインのストーリーを裏打ちする魅力的なサイドストーリーが 隠れています。 シンセポップとシャンソンの融合、ヌ・タン・フュ・パや、ラン・タン・ワルツでのブレヒト風のウンパッパは いかが? ケイト・ブッシュという人は全く予想を裏切ってくれます。 そしてもし、リマスターがカーテンコールを意味しているのなら、 ショウビズ界の定石に従って、アンコールを期待したいものです。」

最後に、UKのメトロ紙のクリスマスレコードの特集では、 プレゼントの提案としてリマスターのレア曲集から12月は魔法の月を取り上げています。 「Tucked away in the box-set of remasters out this month, on a final disc of remixes, covers and rarities is Kate Bush’s little remembered, genuinely magical, distinctly Bowie-esque 1980 Christmas single. So too is the gorgeous, brief acoustic number Home For Christmas from 1992. It’s Kate. It’s great. Obviously.” (How lovely to see this single cover appearing in print today – Remasters; job done!)

Read more about Kate Bush – Remastered here.

2011年11月27日日曜日

「音楽のビジョンでとりこに」: インターコスタル・クラヴィクル

インターコスタル・クラヴィクルという贅沢な名前の サイトでベンさんは8.5/10:

予想よりも静かで親密なアルバムでした。 もちろんケイト・ブッシュの初期の作品には親密なときが ありましたが、この作品はピアノがほとんどで、いつもほど装飾が入っていません。 重層的で広々とした音の風景はそこにはありません。 この作品は室内で冬の嵐を避けながら、冷えたり暖まったりの中で 聴くのがお似合いです。 曲はどれも雪をテーマに書かれていて、音楽はやわらかく魔法のような はかなさを響かせています。 氷の下に閉じ込められるようなこともありません。 … 彼女の声は魅力的で、プロダクションはみずみずしく細部まで練られた ものですが、一番良いと思ったのは遊びと驚きの要素です。 アイデアはしっかりと形になり、登場人物は嵐が丘のキャシーのように 存在感を持ち、それでも次に何が起こるのかは予想できません。 … 雪のための50の言葉でケイト・ブッシュは、 凍った内陸部で輝く静かな音楽を作り上げました。 それは誘いかけ、心を落ち着かせ、静かに贈り物を届けてくれる雪のようです。 まだ揺れ動きもせず失望も与えない音楽的ビジョンに心を奪われました。 なんと幸運なことでしょうか。

「いまからの季節への美しく暖かな寮歌」: オルタナティブ・レビュー

オルタナティブ・レビュー のマシュー・フレンチさんからは4つ星:

長いブランクのあとで、 絶頂期の傑作に対抗するようなアルバムどころか、 もっと注目に値する作品を出すことができるかどうかという 想定の範囲をまた広げたようだ。 しかし、これを見よ。雪のための50の言葉はいままでのベストの作品と同じくらい 明確なテーマがあり、創造的で感情表現にあふれている。 … ブッシュは年齢に負けておらず、54歳にして声はすこし柔らかくなって以前のような嘆きの声に比べると深いトーンを 出しているが、それはまさにこの作品には良い効果を発揮している。 彼女の声は感情に訴える心地良いもので、まるでしんと静まった寒い夜にログハウスの中で、 暖炉の前に暖かいものを羽織って以前の愛や喪失の物語を思い出しながら 歌いかけてくれているような感じだ。 … 雪のための50の言葉では、雪景色の壮大さではなく、ブッシュ流の冬のシュールレアリズムで挑発している。 曲のテンポはゆっくりと瞑想的で、ほとんどピアノとブッシュの暖かいボーカル、繊細なパーカッションを 中心に展開してゆく。 何よりも、雪のための50の言葉は、ほかの作品と違いミニマムなのが良い。 ブッシュは風が吹き抜けるような環境をつくるためにネガティブなスペースを含めている。 しかしそれは意味のないことではなく、 あちこちで純粋な歓びに繋がってゆく。 感情的な充足を求めるのにはちょうどよい。

「背筋に寒気を覚える魅力的な美」: マンク・レビュー

マンク・レビュー のドナ・ゴーリー:

語るような歌と魅力的なコンセプトがポストモダン的な物語の世界を作っている このアルバムでは、ケイトがオリジナリティのある実験的なアーティストであることを 改めて確認できる。 … クラシック的アルバムで、ケイトの鬼火のような永久の精神を育んでいる。 このアルバムを本当に楽しむためには何回か繰り返し聞く必要があるが、 想像を超えていて、背筋に寒気が来るような恐るべき美しさを持っている。 絵画のような音楽はオーケストラ的で、削ぎ落とされた音響が 強烈で感情的な風景の中を自由に駆け巡る。 山肌の雪のように、『雪のための50の言葉』は融けながらそれ自体が持つペースで みずみずしい核心を見せてくる。

2011年11月26日土曜日

「寡作だが充実したケイトのキャリアの中でも良作」: ダーティー・インパウンド

ダーティー・インパウンドのロン・ハートによる今週のアルバム:

タイトルトラックはヤング・ジージーやゴーストフェース・キラーのような コケインにやられたラッパーのミックステープみたいだが、 ケイトのアンチ-レーベルでのデビューになる作品のテーマをよく表している。 7曲の新曲は冬の官能的なツンドラが気持ちや心や腰にどんな影響を与えるかを 題材にしている。 … 雪のための50の言葉の魅惑的な美しさを正しく表す言葉は 見当たらないが、ケイトの寡作だが妥協をしないキャリアの中でも もっとも美しい作品だと認めるしか無い。

「失われたものは全て記憶に蘇る」: トロント・グローブ・アンド・メール

トロント・グローブ・アンド・メール のロバート・エヴェレット・グリーンさんは ディスク・オブ・ザ・ウィークで3/4評価:

ありふれた個人的経験はいままでブッシュにとって大きな主題ではありませんでした。 現実性を求めるために想像力が制限されたりしないシチュエーションのほうが好みでした。 しかし、どうでしょう。シェークスピアはベニスを直接知ってはいませんでしたし、 カフカはアメリカに行ったことはなく、ジュール・ヴェルヌは月に行ったことはありません。 彼女の靴をはいた誰かが雪と氷をロマンティックなシナリオの背景にしていたかも しれないのです。 … ブッシュは対象そのものと一体化するのを好みます。 … 笑いのためにやっているのではなく、 世の中が寝ていて失われたもの全てが想像の中でもう少しで届きそうなところまで取り戻される 深夜の現実化をしようとしているのです。 … ブッシュの音楽は夜中3時のジャズピアノトリオからジャズを取り除いたようなもので、 思索的で広がりがあり、 … ピアノで繰り返されるフレーズはアルヴォ・ペルトの簡素な宗教音楽から持ってきている のかもしれません 。 アルバムの大部分は静かで夜の雰囲気を醸しています。 … しかし、あの特徴的なソプラノの叫びはこのディスクではほとんど聞かれません。 雪のための50の言葉を本当に好きになるためには、 ぐつぐつと煮えながら時がたつにつれて良さがわかってくるような レコードに敏感でないといけません。 ブッシュのピアノの繰り返しのフレーズは8~9分ある曲に対しては 弱いと思っていますが、それ以外の部分で彼女がやっていることについては、 その精神やテーマ、そしてその美しさも含めて評価しています。

「世を逃れるのに完璧な島」: ザ・チューン

ザ・チューン ではアレックス・ホールの4/5:

30年以上のレコーディングキャリアのあるアーティストにとっては、シーンの中に居続けるという ことだけでも大変なことです。 ケイト・ブッシュにとって、 雪のための50の言葉は彼女の80年代の名アルバムにも匹敵する いい作品に仕上がっているので、 シーンの中にいるということは重要ではなく、 … いくつかの曲ではコンセプトの扱いはそれほど強くないですが、それでも 一貫したコンセプトが感じられます。 雪というのがこのアルバム全体を貫いていて、 バラバラにならないようにしているのです。 … 雪のための50の言葉が目指しているのは、そういった雰囲気をどうやって保つかということで … 私の評価も曲作りというよりは彼女の芸術表現における状況により強く関係しています。 リスナーはいつも完全な雪の世界に包まれることが出来るわけではなく、 それは自然がそんなことを考えることを許すようであれば、 … このレコードが完全に連れて行ってくれるでしょう。 ブッシュの深いリッチなボーカルと処女雪とはくっきりとした対比で、 それをさらに強調するために、このレコードでは若い男性のハイトーンの声を 取り入れていますが、 ブッシュの息子アルバートも雪のように移ろいやすい 美しさを表しています。 … このアルバムではピアノが支配的ですが、 それによって作品全体が優しいものになった上、 ブッシュのアートロック的な性格がジャズやクラシックにまで広がっっています。 … もう一つ。このアルバムのトラックは、どれも1曲だけでは存立しない。 内容がお互いに似ているのと、曲の長さのためです。 このような一貫性のある作品のリリースがあると、 リスナーはもう腰を据えてレコードを最初から最後まで通して聴くしかないので、 それはうれしいことです。 … わたし的には、雪のための50の言葉は、 窓から人影が消えてゆく街や舗道を長い間眺めた後で 想像の世界で聞いたコンサートのようなものです。 … 雪にまつわるアルバムなので、実際に雪がまわりにあると良く内容が伝わるので、 これはまさに今完璧なタイミングでしょう。 時がすぎて、暖かく乾いた季節になるとこのレコードは今ほど重要なものでは なくなってくるかもしれませんが、 それでも、気候がどうであっても、雪のための50の言葉は 世を逃れるのに最高の場所で、 なんかうっとおしくなったり音楽がやかましいと思った時に 戻る場所になることでしょう。

「テーマを捉えている」: レトロ/アクティブ

7/10、レトロ/アクティブのダンさん:

興味深いアルバムである。 一面では圧倒的にすごいところはないとも言えるが、このアルバムの目指しているのは 雪を背景にした1枚のアルバムを作ることにあり、その意味ではテーマを捉えている。 反面、これはエキサイティングなアルバムとは言いがたく、全体にメリハリがないし、 ポップスでヒットを目指すとすれば6分を超えるような曲はボヘミアン・ラプソディー 以外にはありえないだろう。 とにかくしっかりと作られたアルバムで、楽しいのは確かだ。

「いい曲はあるがだらだらとした奇妙さは埋められず」: ニュースデイ

ニュースデイ でスティーブ・クノッパー:

雪だるまと事に及んでしまうという曲は英国のシンガーソングライターでありポップ界の 実験主義者であるケイト・ブッシュが2011年2枚目のアルバムでつくるびっくりするような予測不能の瞬間の一つである。 … ぶっとんだピアノのアレンジ、立派なコーラス、 エルトン・ジョンのカメオ出演などで救われて、 7曲の長い曲にはなにかしら幻想的な美しさが感じられます。 しかしこのアルバムには、8分にわたる繰り返しばかりのタイトルトラックを含め、 果てしないガラクタが多すぎます。…」

2011年11月25日金曜日

「至上の歓び」: ハウル

ハウルでのオナー・クレメント・ヘイズ:

私はスティーブンの1000万人以上いるツイッターフォロワーの一人ですが、 彼がケイト・ブッシュの作品でレコーディングに入ったということを 発表した時にはスクープニュースを知ったような気がしたものです。 実際はそうではなかったのですが、とんでもない秘密を発見したように思いました。 私はこのアルバムを聴くと、同じような感覚を覚えます。 誰かの頭の中を、その人が思いにふけっている間に覗き見をしているような感じがします。 ケイトの音楽はいつも親密な感じがして、 耳元でささやいているような、自分のために歌ってくれているような感じがします。 … もう50歳を過ぎていますが、あの声はまだまだ子供っぽい遊び心にあふれていて、 ビーバー・アンド・チップマンクや何千という同類ばかり の時代に聴けるのはこの上ない歓びです。 Robber’s Veil. Ankle Breaker. Simmer Glisten. Deep and Hidden. Bad for Trains. Vanishing World. しばしの間、このアルバムに自分を委ねて、騒々しい実世界から解き放たれてリフレッシュさせてみてください。

「美しいが限りなくセルフパロディーのよう」: カルチュラル・デザート

ロバン・シンプソンはカルチュラル・デザートで:

若い頃からケイト・ブッシュの声に魅せられてきた私達にとっては、彼女が電話帳を読み上げているのを 聞いても幸せになれるだろう。 ニューアルバムはこれに近い … 静かで思索的な歌は、ほとんどが優雅なピアノのコードの伴奏で、 美しい作品でありいたずらっぽく流れてゆくが、 セルフパロディーのようでもある。 … これはフローレンス・アンド・ザ・マシーンのニューアルバム、「セレモニアルズ」を 聴いていたのと同じで本当のものにはかなわない。 これでは足りない!

「圧倒的にオリジナル」: アイリッシュ・タイムズ

アイリッシュ・タイムズでのシニード・グリーソンの4つ星:

内にこもった感じでありながら、非常に野心的な作品。 痛烈かつ思索的であり、楽しむには時間をかけてしっかりと取り組む必要がある。 ラジオオンエア用の軽い曲は1曲もなく … プロダクションは前作よりも密度の低い感じで曲に必要なスペースを与えている。 ピアノに大きく重点が置かれていて、そのためにどの曲も似ているという 人もいるだろうが、雪のための50の言葉はその類似性を跳ね除け、 アルバム全体を重なりあう音楽の文采としてまとめあげている。 … 声は良い感じの円熟味で、その響きが格調を高めている。 雪のための50の言葉は畏敬すべき作品であり、 いままでのブッシュの作品と同じくまったく妥協を許さない。

「別世界のようで驚くほど魅力的な人間らしさ」: ヴァーシティー

ケンブリッジのヴァーシティーではロリー・ウィリアムソンの5つ星:

雪のための50の言葉とは? その概念自体、極端かつ過剰でばかばかしくさえもありますが、 まさにケイト・ブッシュだけが傑作を引き出すことのできる種類の 題材です。 その主題をめぐって1時間以上をかけて7曲がゆっくりと展開する間、 リスナーがひたすら感じさせられるのは1枚のアルバムの中に人が住めるような 世界を作り上げることができるブッシュの不思議な能力です。 … 崇高なものとばかげたものを等しく操ることができる有名な能力を思い出すが、 歌詞での遊びはまた、ブッシュの第二の本能とも言えるが、 雪のための50の言葉はもっともかけ離れた概念の間さえも 橋渡しをして7つの曲で一環した世界を作り上げています。 ワイルドマンでの孤独なイエティ、ミスティでの溶けてしまう雪だるま、 タホ湖で犬の名前を呼ぶ女性の霊など、姿の見えない登場人物たちに彩られた 風景です。 タイトルトラックで雪を表す言葉が並べられるさまは、 その軽みもあり、このレコードを通して流れる雪のはかなさを表しているようです。 恋人たちは別れる運命にあり、命を得た雪だるまは溶けてしまい、 1曲目で声を与えられた雪のかけらは見つけることができず、 結局なにもつかまえることはできません。 凍りついた世界は、その美しさにも関わらず厳しいものです。 ものを分かち、混乱させ、最後には現れる時と同じく静かに消えていきます … 生来の奇抜さを大事にしながらそれと離れることもできる 完璧なアーティストの仕事は、 別世界のようでもあり、同時に驚くほど魅力的な人間らしさも出している。

「心を掴まれるジャズ風のグレゴリアの詩」: ロチェスター・デモクラット & クロニクル

デモクラットでのジェフ・スペヴァクによるショートレビュー:

妥協を許さない影響力のあるアーティスト。心を掴まれるジャズ風のグレゴリオの詩の 世界は底知れぬほど何かをかき立てるイメージに満ちている。

ソールドアウト・ブログ: 「これまでで最高のアルバムができた … これは偉業」

ソールドアウト・ブログ のレビューで小説家で詩人でもあるコリン・ケリーが雪のための50の言葉を「完璧」と言っています:

『天使にかこまれて』はほんとうにすごい作品で、このアルバムの中でも ケイトのボーカルの最高の部分です。 ディレクターズ・カットとこのアルバムの大部分で聞ける 新しいハスキーなケイトの声は、心を揺さぶるような歌詞の上で 舞いながら溶けてゆくようです。 "There’s someone who’s loved you forever, but you don’t know it."   この曲ま間違った音で始まりますが、ケイトは『失礼』と言ってからピアノを弾きなおしています。 なぜそのまま残したのかは謎ですが、なんとも言えずチャーミングです。」

ケイト・ブッシュは5つ星に値するか? – インデペンデント

インデペンデントのトム・サトクリフは、ケイトが国宝のように受け止められてられているというだけで 批評家たちが仕事を放棄して不戦勝に持ち込んでいるんでは、と考えています…

このアルバムはもう何日も聴いているが、どうもしっくり来ない。 確かに良い所もあって、演奏や録音についてのクオリティなどは だれも否定しないだろうと思う。 しかし、これほど風変わりで、めちゃくちゃ気難しい感じの レコードが満場一致で高評価を受けるものだろうか。 ロックの批評家というものはあまり寛大なものではないが、 いずれにせよ、 私には笑わずにはいられないようなところがそこかしこにあるのだ。 …」

2011年11月24日木曜日

「これは本当に良い」: ヘヴィービニール

Keiron at ヘヴィービニール のカイロンさん50の言葉のレビューが あまりにも良すぎるのに警戒しています。なぜでしょうか:

たぶん今年出たどの音楽作品よりもこのアルバムのレビューをたくさん読んでるかもしれません。 それは私の責任でもあって、 私も、ケイトが出したものなら何でも大好きというそういう人達の一人だからです。 … 気になるのは、どの記事を読んでもこれが彼女のベストの作品だという大きなコンセンサスが できているように見えるのですが、これはやはり私の感覚からどうも違和感があります。 … 批評や時代精神で一定の意見を強要されているようで、DNAの1本1本が反応して その見方を跳ねのけようとしてしまいます。 もう本当に嫌なんです。 … ケイトは『レッドシューズ』や『エアリアル』でのオーケストレーションを 削ぎ落として、堂々とした美しいアルバムを作りました。 シンプルではありますが、スカスカということでは全くなく、 とても濃密でアイデアにあふれています。 歌詞や震えるようなピアノ、コーラスやストーリーが聴くものの周りを 嵐のように取り囲みます。 メロディーや歌詞の世界に浸って、あの驚くべき声で暖まってください。 ちょっと走りすぎでしょうか? でも本当に良いんです。 ケイト・ブッシュは比類ないアーティストで、このアルバムはなんといっても完璧です。